オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

カテゴリ: ドリフト

ドリキンこと土屋圭市氏が仕掛けてきたドリフトイベントといえば、稲田大二郎氏とともに2001年にスタートしたD1グランプリ。そして、この二人は2011年にD1から距離を置いたドリフトイベントとしてドリフトマッスルをスタートさせた。そして2018年よりドリフトキングダムと名称を変更してシリーズ戦を行っていたのだが、12月22日(日)に静岡県・富士スピードウェイで行われた2019年の最終戦をもって終了することになった。
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わずか2年でシリーズの終了となってしまったドリフトキングダム・シリーズだが、参戦者は推薦制度を活用し、来季以降は「D1グランプリ」および「D1ライツ」への参加資格を得ることが可能となっている。まだ推薦結果は発表されていないものの、キングダム最終戦の会場にはD1GPを主宰しているサンプロスの関係者も視察に訪れており、その走りを実際に確認していた。
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基本的にはドリフトキングダムはナンバー付きの車両で開催されており、D1GPに参戦するにはナンバー無しの専用車両を新たに製作しなければならない。それでも多くライセンス発行の希望がいたようだ。また、その下位カテゴリーの「D1ライツ」への参加を希望する10名近くにはライセンスの発行がされそうだ。ただ、ドリフトキングダム参戦者のなかにはD1への転向を希望しない選手もおり、ドリフトを楽しむエンジョイ層とD1参戦を希望する競技志向の高い層と分かれた。

D1の発案から遡れば、土屋氏の手がけたイベントから数多くのトップドリフターが輩出されてきたわけだが、特にドリフトマッスルおよびドリフトキングダムを通して最も成長した選手は? という質問に土屋氏は「藤野!」と藤野秀之選手の名を一番に挙げた。

藤野選手は、2015年-2016年ドリフトマッスルで連覇し、その後活動の場をD1GPへ移し、2017年にはD1チャンピオンを獲得。今年のFIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップでも日本人最高位の2位を獲得している。「これ(ドリフト)で飯を食っていこうっていう気概が他の選手とは違ってた」と土屋氏は語る。
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ちなみにドリフトキングダムでは、「キングダムチャレンジ」というドリフト走行会形式の単走審査「キングダム・チャレンジ」も開催していた。ここでは、ドリフト・ビギナーが土屋圭市氏にドリフト走行を直接見てもらって、評価してもらう機会となっていた。

ドリフトキングダムの終了と同時に、ビギナーが土屋氏に審査してもらう機会も失われてしまうわけだ。これに対し土屋氏は「審査をしてもらいたいっていう選手がたくさんいることは理解している」としながらも「(土屋氏が審査する機会は)来年から開催される“ドリフト・キングス”かなぁ」と語る。
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もともと土屋氏は「お客さんが首をかしげるような審査ではいけない」と、FIAインターコンチネンタル・ドリフティングカップ等での審査方法に疑問を持っている。そこでドリフト・キングスの審査員を務めることで、世界のドリフト審査基準の再構築を図るということのようだ。年間16戦で世界を回るドリフト・キングス2020は、11月14-15日に日本戦を栃木県・日光サーキットで開催する予定だ。

12月21日・22日の両日、JAF公認のドリフト競技「ドリフトキングダム」の2019シーズン第6戦が富士スピードウェイ・ショートコースで開催。2011年にスタートしたドリフトマッスルから2018年に名称変更したこの競技は、この大会をもって終了することが決まっているだけに、当日は白熱のバトルが展開された。
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ドリフトキングダムは二つのクラスに分けられており、21日(土)に登竜門的な「クラブマンクラス」、そして22日(日)には上級の「プロクラス」が開催。両日ともに1台で走行する予選の「単走」、そして決勝では、2台でバトルする「追走トーナメント」が行われた。

今回の最終戦の舞台となるのは、富士スピードウェイのショートコース。これを順走(通常の走行方向)で使用。ドリフトは、各車両の滑らせ方などを審査員がチェックする競技だが、今回の審査区間は最終コーナー手前からスタートし、3コーナーの出口まで。

この区間の路面は6級舗装という、一般道レベルの喰いつきの悪い舗装路面。当日は年末の押し迫った日程だっため冷え込みが厳しく、路面温度・気温ともにかなり低く、選手たちにとってはより難しいマシンコントロールが要求される大会となった。
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今回審査を行うのは、大会審査委員長に「ドリキン」ことプロドライバーの土屋圭市氏。審査員には、数々のドリフトタイトルを獲得してきたベテランドリフターの今村陽一氏が担当した。

クラブマンクラスは、第2戦・間瀬、第4戦・日光の各大会で優勝し、すでに年間チャンピオンを決めている船橋 竜選手が今回上級のプロクラスにチャレンジするため欠席。代わりに注目なのが、今回スポット参戦したスーパー耐久レースなどで活躍する久保凛太郎選手。クラブマンクラスには全15台がエントリーした。

一方、プロクラスでは、シリーズチャンピオンを争う川井謙太郎選手と益山 航選手の一騎打ちが注目。また、スポット参戦した大会では、ほぼ全勝(タイヤ空気圧不足で失格となった第1戦を除く)している中村直樹選手の活躍も気になるところ。最終戦には全16台が参戦した。

波乱の展開となったクラブマンクラス

21日に開催されたクラブマンクラスは、予選の単走で藤本幸之助選手(#34 VL猛 DASH シルビア/GF-S15)がトップ通過で、1回戦不戦勝でベスト8から追走。一方、この時点で今シーズンランキング2位の谷岡昭夫選手(#12 Mon To Blan/AE86)はまさかの一回戦敗退と波乱の展開。

そして、決勝に向けて争う追走トーナメント。注目の久保凛太郎選手は、追走に慣れてないためか先行の1本目を先取したものの、2本目は大失敗! ベスト8への進出はかなわず、1回戦で終わってしまう。

続く2回戦で注目だったのは、コーナーに147km/hで進入し、ハイスピードドリフトを披露して勝ち上がった印南 塁選手(#19 オヨヨワークスシルビア/S15)。だが、3回戦で印南選手は、コンセントレーションを高め走行に臨んだ河南勇太選手(#26 オートアスリート・ガレツネ1号/S15)に敗れる。結果、決勝戦は藤本選手と河南選手の対決となった。
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決勝では、1本目に藤本選手が1コーナーをオーバーランする失敗をおかしたこともあり、河南選手が優勝。3位には城﨑明日香選手(#17 STF180SX/RPS13)が入った。ちなみに、最終戦を優勝で飾った河南選手は、シーズンランキングでも2位も獲得している。
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そして迎えた22日のプロクラス。この日も前日同様の厳しい寒さであった。事前の予報では、午後から雨、そして夕方からは降雪の可能性もあったのだが、競技が終了するまで雨に邪魔されることなくすべての走行を終えることができた。
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大会審査委員長の土屋圭市氏は、事前のブリーフィングから「これぞ追走! といった走りを見たい」と選手たちに檄を飛ばす。この日を最後に終了するドリフトキングダムのまさにラストレースだけに、この言葉に選手全員が気合に満ちた表情となっていた。

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予選では、前評判通り中村直樹選手(#99 クリスタルHE.VALINO/S15)がピカイチの走りを披露。単走一本目から満点の100点を獲得し、予選をトップで通過した。
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ドリフトキングダムの常連で、「予選番長」の川井謙太郎選手(#109 AUTO-TEC チェイサー/JZX100)は、2本目に驚異のコーナー進入速度161km/hをマークしたものの、審査ポイントでコンマ1点足りず予選2番手。益山 航選手(#530 3代目マスビア/S14)が、川井選手に次ぐ3番手で通過した。
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さらに4番手には、下位カテゴリーのクラブマンクラスのタイトルを引っ提げてプロクラスに参戦した注目の船橋 竜選手(#64 ガレージミラルダS14 VL/S14)が入る。審査員から「美しいドリフト」との評価を受けた実力者だけに、今回が最後の大会というのは惜しい限りだ。
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決勝に向けての追走トーナメントは、当初の予定よりも若干早め午後1時40分にスタートした。この追走では1回戦から2台ものマシントラブルが出てくるなど波乱もあったが、ベスト4に進出できたのは、やはり予選で上位を占めたトップ4台。

予選トップの中村選手は、ベスト8で当たった田所選手との接触により、フロントバンパーを取り外したままでの参戦。手負いの状態のはずだったが、それでもしっかりと船橋選手を下して決勝へコマを進めている。 

決勝を競うもう1台を決める追走は、ランキング1位と2位の益山・川井の両選手が一騎打ち。タイトルは、追走の1回戦終了時点ですでに川井選手に確定しているが、「川井選手に負けずにシーズンを終える」という目標をもって向かった益山選手が大健闘!

スピードで勝る川井選手に負けない走りを披露し、意地をみせる。結局、決勝は中村・益山の両選手が対決。ちなみに、船橋・川井の両選手による3位決定戦は、船橋選手がこれを制した。
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泣いても笑っても終わりというドリフトキングダム最後の追走は、実力者の中村選手に、益山選手が喰らいつき大接戦。決着がつかずサドンデスに持ち込んだものの、やはり中村選手の技術は一枚上手。ラストゲームを制したのは、中村直樹選手(#99 クリスタルHE.VALINO/S15)であった。
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ドリフトマッスルから数えて9年間に渡り続けられてきたドリフトキングダムは、この大会をもって終了となった。

国内最高峰のドリフト競技D1や、その下位カテゴリーのD1ライツへの転向する選手もいれば、アメリカで開催されているフォーミュラDへ挑戦する選手など様々。中には、一旦ドリフト競技から身を引く選手もいることはとても残念だ。いずれにしろ、各選手の今後の活躍、そしてキングダムで鍛えた技などを、また別のステージで披露してくれることを期待したい。

ドリフトの世界一決定戦やワールドカップともいえる、FIA(国際自動車連盟)公認のドリフトイベント「インターコンチネンタル・ドリフティング・カップ(IDC)」は、2017年から東京お台場に設けられた特設コースで開催されてきた。3年目となる2019年大会は、場所を移し、茨城県・筑波サーキットを舞台に11月29日-12月1日に開催された。
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世界40か国以上で開催されているドリフト競技の世界一決定戦となるこの大会。今回初めてクローズド・サーキットでの開催となり、競技区間も長く、最高速も大きく上回る。その舞台となる今回の筑波サーキットでは、最終コーナーからスタートし、タイヤバリアが設置されたホームストレート、1コーナー、S字、そして第一ヘアピンを抜けるまでがその競技区間となる。

採点システムには、昨年大会と同様に、車両に搭載した機器により速度や角度の大きさ、角度の安定性などの計測が可能なエレクトリック・スコアリングシステムを採用。その数値ベースに、3人の審査員がライン、アングル(角度)、スタイルを採点し、速度(振り出し&平均)とともに判定を行う。D1グランプリにも採用されている採点方法だ。

今回は審査区間にインクリップ(車両イン側の通過ポイント)3か所、アウトゾーン(車両アウト側の通過ポイント)6か所の採点ポイントを設けており、各ポイントをドリフト状態で通過しなければならない。また、そのフォーマットも、2017年開催の初回は単走・追走のセッションを2日間繰り返すスタイルだったが、毎回変更を重ね、今回はまた新たな方式を採用。

30日(土)に予選として1台で走る「単走」を行いトップ15台を決定。その後、予選落ちした中の上位8台が、2台ずつで走る「追走」で敗者復活戦を実施。その勝者1台が加わった合計16台が12月1日(日)に追走によるトーナメント(勝ち残り戦)を行う。
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初年度の2017年大会は川畑真人選手、2018年大会ではゲオルギィ・チフチャン(通称:ゴーチャ)選手が優勝。今回も、世界各国から「世界一」を目指して、17の国や地域から25名の選手がエントリーした。

中には、フォーミュラドリフト・ジャパン(アメリカのプロドリフトシリーズの日本開催版)チャンピオンのアンドリュー・グレイ選手やマッド・マイク選手らも名を連ねる。日本からはトップドライバーの川畑真人選手のほか、松井有紀夫、横井昌志、藤野秀之、小橋正典の5選手が参戦した。
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30日に開催となった予選単走では、2グループに分けてセッションとなる。午前10時半からAグループの予選がスタート。単走を2本走行して、点数の良かったほうで、得点が決まる。昨年この大会で優勝し、今回は唯一ロシアからの参戦となったゲオルギィ・チフチャン選手(#1 Russian Drift Series Team/日産S15シルビア)が、一本目の単走で84点を出して暫定トップに。
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だが、日本勢も負けていない。続く松井有紀夫選手(#5 Team RE amemiya K&N/マツダRX-7 FD3S)がこれをひっくり返す85点を叩き出し、暫定トップに浮上したところで、Aグループ1本目の走行が終了した。2本目の走行では、その松井選手のポイントを大きく上回る87点でアンドリュー・グレイ選手(#3 Team Kazama with Powervehicle & Valino/トヨタMARK II JZX100)がトップへ浮上、さらにゴーチャ選手が89点で再びトップを奪還するも、松井選手も負けじと奮闘し、暫定トップの90点を獲得。Aグループは、この松井、ゴーチャ、アンドリューの順で暫定上位を獲得。残るBグループの出走を待つ。
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Bグループでは1本目に80点を超えた選手は3名のみ、横井昌志選手(#6 D-MAX RACING TEAM/日産S15シルビア)、マッド・マイクことマイケル・ウィデット選手(#4 Red Bull / Mazda / TOYO Tires/マツダRX-7 FD3S)と、チャールズ・カキエン選手(#17 T1 Racing with RYDANZ TIRES/日産S14シルビア)だった。結果的に、カキエン選手が2本目では93点をたたき出し、Bグループを予選トップで通過する。予選総合でカキエン選手が1位、2番手には松井有紀夫選手、そしてゴーチャことロシアのゲオルギィ・チフチャン選手が3位に入った。
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なお、予選セッション中にマシンから出火した小橋正典選手(#19 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE/日産S15シルビア)は予選トップ15位に入れることができなかったが、敗者復活戦に臨み、無事にこのボトム8を勝ち上がり、日本人5人全員が決勝追走に進出することができた(敗者復活戦は土曜日中に開催されるはずが、さまざまな遅れが生じたため、日没までの開催ができず、翌日に持ち越された)。

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そして迎えた決勝日。前日よりは少し雲が多かったものの、この日も早朝から好天に恵まれ朝から多くのドリフトファンがこの筑波に駆け付けた。午前中には前日時間切れで行うことができなかった敗者復活戦の上位4台の追走が行われ、さらに午後の決勝へ進出した16台のチェック走行の後、ドリフトマシンの同乗走行、サイン会、グリッドウォークとファン向けのイベントも行われた。
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そしてオープニングセレモニーが行われ、この大会の名誉顧問であるドリキンこと土屋圭市さんによる「開会宣言」に続き、午後1時過ぎに決勝追走はスタートした。

追走トーナメントのベスト8を決める1回戦は、まずコンソレーション追走(敗者復活戦)の勝者、小橋正典選手(#19 LINGLONG TIRE DRIFT Team ORANGE/日産S15シルビア)と予選トップ通過のチャールズ・カキ エン選手(#17 T1 Racing with RYDANZ TIRES/日産S14シルビア)の組み合わせからスタート。だが、小橋選手のマシンにクラッチトラブルが発生しここでリタイヤとなってしまう。
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続く2戦目は、藤野秀之選手(#8 Team TOYO TIRES DRIFT/日産180SX RPS13)と、昨年の同大会で2位となっているスイスのイヴ・メイエー選手(#7 Eventseelisberg/トヨタGT86 ZN6)の組み合わせ。ここではウォームアップ中の藤野選手のマシンのテンションロッドが折れるというハプニングが発生。万事休す! と思われた藤野選手だったが、時間内になんとかマシンを修理し疾走。メイエー選手を下して、無事に先に進むことができた。

予選2番手通過の松井有紀夫選手(#5 Team RE amemiya K&N/マツダRX-7 FD3S)もきっちり走り切りこの1回戦を通過。しかし、今年D1連覇を達成した横井昌志選手(#6 D-MAX RACING TEAM/日産S15シルビア)、そして川畑真人選手(#2 Team TOYO TIRES DRIFT/トヨタ・スープラA90)は、ここでまさかの敗退となり、ベスト8に進出した日本人選手は2名のみとなってしまう。
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8台が進出した2回戦では、香港のカキ・エン選手、さらにマレーシアのツンクー・ジャン・レイ選手(#12 Sailun Motorsports/BMW E92 M3)がマシントラブルに見舞われ満足に走行できず敗退。ベスト4に進出したのは、藤野選手、松井選手、ロシアのゴーチャ選手、そしてフォーミュラードリフト・ジャパンで今季2年ぶり4度目のタイトルを獲得したアンドリュー・グレイ選手(#3 Team Kazama with Powervehicle & Valino/トヨタMARK II JZX100)となった。

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ここからはさすがのベスト4といった見ごたえのある追走バトルが繰り広げられた。藤野選手とグレイ選手の追走では藤野選手が勝利。ゴーチャ選手と松井選手の追走はサドンデスに持ち込まれたものの、ゴーチャ選手が勝ち上がって、藤野選手との初の一騎打ちが見られるはず、であった。
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決勝ファイナルを前に、波乱が起こった。まず、ゴーチャ選手がクラッチのオーバーヒートでマシンを修復。ようやく修理が終わり、走り出したところで、今度は藤野選手のマシンが「デフのリングギアが飛んでしまった」ということで走行不能になりリタイヤ。2名のトップドライバーの注目対戦は実現することなく、決勝が終了。
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結果は、ゴーチャ選手ことゲオルギィ・チフチャン選手(#1 Russian Drift Series Team/日産S15シルビア)が優勝し、大会2連覇を達成した。2位に藤野選手、そして3位決定戦で松井選手を下したアンドリュー選手が3位に入った。
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優勝したゴーチャ選手は「マシントラブルが続出しましたが、決勝で藤野選手にトラブルが出ていなかったら、自分が勝てたかどうかわからない厳しいレースでした。今回はすごくラッキーだったし、勝てたことをうれしく思います」とコメント。大会の名誉顧問・土屋圭市さんは「ベスト4以外はねぇ、あんなに離れていたら追走とは言えない」と苦言を呈しつつも「まだ(大会は始まって)3年目。これから、もっとお客様が喜んでくれるような追走を見せられるよう、さらにレベルアップしていってくれると信じています」とこれからの取り組みに対し、期待を込めたコメントを越してくれた。

8月17日~18日、栃木県にある日光サーキットを舞台に「ドリフトキングダム第4戦」が開催。シリーズ後半戦に突入した今回、この両日ともに終日真夏の太陽が照りつける好天に恵まれたが、かえって熱中症が心配される2日間となったが、夏休みということもあり、厳しい暑さの中多くのドリフトファンが応援に駆け付けていた。
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審査区間は、日光サーキットの最終コーナーから4コーナー出口まで。審査員席は1-2コーナーのアウト側に設けられ、1コーナーの進入速度の計測も行われる。審査は、ドリキンこと土屋圭市審査委員長と、過去に幾度もD1GPのタイトルを獲得してきた今村陽一審査員の2名だ。
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この真夏の対戦に、クラブマンクラスは26台がエントリーしたが、プロクラスは14台と少し厳しい台数となった。17日(土)に行われたクラブマンクラスでは、予選単走トップ通過の船橋 竜選手(#64 ガレージミラルダS14 VL)が、第2戦間瀬に続く2勝目を挙げた。
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船橋選手は「今日はガレージミラルダのお客さんがたくさん来てくれていて、その気持ちがのっかって優勝できました。これまではドリフトは個人戦だと思っていたんですが、今回チームプレーなんだと実感できました」とコメント。今村審査員からも「プロクラス通用する可能性あるレベルの追走を見せてくれた」と高評価であった。

そして迎えた18日(日)。通常ならベスト16からの追走トーナメントとなり、今回はプロクラスの参加台数が14台ということもあり、全車が予選通過し、単走上位入賞者はシードで1回戦不戦勝という流れで行われるはずだった。しかし、これをベスト8からにしようという提案がなされ、6台が予選落ちするという厳しいものとなった。
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そしてスタートした予選単走セッション。今回エンジンを2.2リッターまで排気量アップしてきたトヨタMR2を駆る金田健人選手(#20 アサオレーシングMR2/SW20)が素晴らしい単走を見せると、日光サーキットを得意とする石塚進一選手(#11 オートガレージS R33/ECR33)もいいラインで迫力もある走りを見せる。さらに、最近実力をつけてきた兼森啓太朗選手(#223 オートテックチェイサー/JZX100)も進入速度126km/hで角度もしっかりつけての走りを披露。それに続く益山 航選手(#530 3代目マスビア/S14)も、といった具合に各選手が緊張感のあるドリフトを見せていく。
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一方、ドリフトマッスル最終年チャンピオンの前田 翼選手(#74 VITOURオデエイティー/RPS13)はこの単走で大きなミスはなかったものの追走に残れず、といった過酷な予選セッションとなった。金田選手、兼森選手ともに2本目は失敗してしまったものの、“置き”に来るのではなく2本ともにしっかり攻めた結果であって、今村審査員も「走りに気迫があった」とこの予選を高評価。
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この予選をトップで通過したのは、前戦SUGOで優勝を果たした川井謙太郎選手(#109 AUTO-TEC チェイサー)。進入速度はなんと133km/hで、それをきっちり止め、土屋圭市審査委員長も納得の100点満点。チェリオ賞を獲得した。兼森選手がこれに続き、オートテック・チェイサー2台がトップ通過。そして世界のマスーこと益山選手がこれに続いた。
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太陽に雲がかかって多少過ごしやすくなった午後2時、ベスト8によるトーナメント追走決勝がスタートとなった。1回戦では、この日乗れている金田選手と対戦となった斎藤久史選手(#134 mature with 宮精密)の対決。金田選手は先行ではポイントリードしたものの、後追いで離され敗退。益山選手と藤間勝也選手(#27 ガレージサムライカラス180/RPS13)の対決では1本目で藤間選手がミス。2本目は後追いの益山選手が素晴らしい追走を見せ、会場から拍手がわきあがるほどで、2人の審査員も「うまい」と納得の追走となった。また予選で素晴らしい走りを見せた兼森選手も1本目に失敗。対戦相手の石塚選手の安定した走りに、1本目のポイント差を覆すことができず敗退。
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ベスト4となった2回戦では、川井選手と斎藤選手の対決はこの日唯一のサドンデスに持ち込まれたものの、2回目の2本目、最終コーナーで斎藤選手が失速して2台が接触。この勝負では川井選手が勝ち上がった。前戦リタイアを喫した益山選手は、しっかり走り切って石塚選手を退け勝利。そして迎えた決勝戦では、会場から再び拍手がわき起こる後追いを益山選手が披露。2本目では先行の益山選手が川井選手を引き離して圧巻の勝利を手にした。
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益山選手は、前戦SUGO戦はマシントラブルで出走できなかったことから、今回はスペアパーツも準備しての参戦であった。「SUGOでのノーポイントが痛いです。シリーズタイトルに絡めるかどうかわかりませんが、川井選手には負けたくないし、負けないように残り2戦を戦いたいと思います」とコメントしてくれた。川井選手は「今日こそ自力で優勝したいと思っていましたが、悔しいです。次回こそ完全優勝を狙いたいと思います」とコメント。「この暑さでパワーが落ちて厳しい一日でした。3位に入れたことはよかったです」と斎藤久史選手(3位)。
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土屋審判員長は「今回は決勝をベスト8に絞ってよかった。個人的にも面白かったし、選手みんなが単走からグッとくるものを見せてくれた。エントリー台数は少なかったけど粒ぞろいでいい走りだった」とコメント。今シーズンのドリフトキングダムも残り2戦となった。続く第5戦は、10月19日(土)~20日(日)の2日間、奈良県・名阪スポーツランドのCコースで開催となる。

5月12日(日)、栃木県にある日光サーキットで、一風変わったドリフトイベントが開催となった。「ROOTS JDL ALL JAPAN AE86 DRIFT FESTIVAL 2019」という名がつけられたこのイベント。その名の通り、2012年に登場したトヨタ86ではなく、1983年に登場した型式名AE86、4代目トヨタ・カローラレビン/スプリンタートレノを対象にしたイベントだ。
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エントリーは100台で足切りするほどの盛況ぶり。そしてゴールデンウィーク明けの最初の週末だが、好天にも恵まれ非常に多くの観戦者がこの日光サーキットに集結した。
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このイベントは、AE86のみのドリフトイベント。走行会クラス、そして追走まで行うオープンクラスの2種類。走行会は4クラスが設定されており、初級16台、中級18台、上級20台、極20台の74台がエントリー。そしてオープンクラスは24台が参戦。走行会クラスは単走のみの走行だが、ギャラリーの投票によるコンテストの時間も用意され、各クラス3位までの表彰式も行われた。
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追走を行うオープンクラスは、予選単走を走行し、予選結果上位8台がシード権を獲得し、追走ベスト16に進出。予選で下位に沈んだ16台から、決勝ベスト16の残り8台を決めるベスト24からの出走となる。審査員は、もちろんドリキンこそ土屋圭市さん、そしてD1、フォーミュラD、ドリフトキングダムにも参戦してきた箕輪慎治さん、ドリキンの86の整備を担当するテックアート代表の鎌田芳徳さんという3名。そしてコメンテーターとしてプロゲーマーのチョコブランカさんもこれに参加する。
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このイベントは、タイトルにROOTSとあるように、昨年から土屋圭市さんがスペシャルアンバサダーとしてか関わっているeスポーツ大会との連携イベント。レースゲームと実車走行との懸け橋的なイベントとなっている。会場には昨年末の「ROOTS(ルーツ) e-sports最速決定戦!! JAPAN CUP」で優勝したやまどぅー選手、そして2位に入ったカルソニック選手が会場にやってきていた。「ドリフト競技を生で見るのは初めて。自分でもやってみたい、と思いました」と、やまどぅー選手。
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集結したAE86.。中にはSRエンジンを搭載した86もあったが、大半が4AGエンジンを搭載し、そのパワーは頑張って200馬力を少し超える程度。半数が200馬力を下回る。さすがに現在のドリフト界においても戦闘力不足は否めない。「ハチロクじゃ勝てないからってドリフトイベントにも誰も出てこなくなってきててね。それで燻ぶってた人たちがこんなにも集まってくれたってことだね。今回声を掛けて30台くらい来てくれたらいいな、と思ってたら100台も来てくれたっていう。まぁ、100台で打ち切っちゃったんだけど、こういうハチロクを大事にしてくれている人たちがいるんだよね。ハチロクを大事に仕上げて、こんなに全開で走っている人たちが」と土屋さん。
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その土屋さんが危惧していた大きなクラッシュもなく、走行会4クラス×5本の走行枠、そしてオープンクラスの練習走行、予選単走、ベスト24の追走まで無事に終了した。
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優勝したのは、その昔、土屋圭市さんとともにN2レースに出場した経験もあり、グリップでもN2で常にトップクラスの走りを見せる実力派の小泉コータロー選手。ドリキン土屋さんにあこがれて86に乗りすでに4半世紀。筑波のN2レースを中心に活動をしてきて、ドリフト競技の盛り上がりを受けて、N2で得た知見をドリフトにフィードバックしようということでドリフトに取り組んでいる。昨年のドリフトキングダム日本海間瀬戦でクラブマンクラス優勝もしており、今回のこのイベントにもおもしろそうだと参戦を果たしている。今回はグッドライドのサポートを受け、初めてグッドライドタイヤで初競技となったようだが、マシンのセットとピタっとはまったことでこの結果につながったとも。土屋さんも「コータローがドリフトでこんなにうまくなっているとは思わなかった」とその走りを称えていた。
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