オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2020年08月

青木拓磨のライダー復帰計画を機に、障がいを負ってしまった元ライダーに「再びオートバイを運転する」“夢”と“希望”を応援する一般社団法人サイドスタンドプロジェクト(SSP)を青木宣篤・治親兄弟が立ち上げた。
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そして実際に障がいを持つ人に、バイクを楽しむ機会をと、パラモトライダー体験走行会を始めたのが6月のこと。ハンドシステムを搭載したバイク、そしてヘルメットからツナギまでライディングギアをすべて用意し、サーキットというクローズの空間を使用しての走行イベントである。

6月のパラモトライダー体験走行会初開催では、過去にバイクレースの経験もある2名がこれに参加。そのひと月後となる、7月には場所を筑波サーキットに移して2回目の体験走行会を開催。この2回目の会場では、雨にもかかわらず、パラモトライダー初体験2名が参加し、会場には障がいを持つ7名が見学参加した。
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そして、その筑波での見学者のうちの2名を集めての3回目のパラモトライダー体験走行会が、8月21日(金)、第一回目と同じ千葉県にある袖ケ浦フォレストレースウェイで開催された。
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今回は、第一回目から毎回参加している野口忠さんが継続参加。それ以外の新規参加者は、1名がその野口さんの甥にあたる野口輝さん(33歳)。一般道でバイク乗車時にクルマの飛び出しによる事故で、脊椎損傷(腰椎L2)で2年前から車いす生活となっている。もう一人の、前田高豪さん(49歳)は「脳動静脈奇形」という病名で足の自由が効かないという(足の感覚はある)。趣味の二輪レース中にサーキットで発症し、以後25年にわたって車いす生活となっている。ともに第2回の筑波での体験会に来場し、今回の初参加につながった。
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ちなみに、青木拓磨選手は、前週行われたドイツ・ベルリンでジャガーの電気自動車レースに参戦後、帰国はしているものの2週間の自主隔離中ということで、今回は残念ながら不参加。
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この日の袖ケ浦周辺は、朝からすでに気温が上昇し、午後にはさらに陽射しがきつくなり、厳しい残暑の一日となった。この天候下では、健常者でも熱中症へのリスクが高くなるが、脊椎損傷を負っている方は体温調節障がいもあるのでさらに注意が必要。
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そこで、今回SSPでは、リフトゲート付きの冷蔵トラックのレンタカーを会場に持ち込んだ。関係者用休憩スペースとして、走行を終えた参加者やスタッフが時折トラックに入って身体を涼ませ体調を整えていた。
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初めての体験走行を終えた野口輝さんは満面の笑みでピットへ戻ってきた。やはりブランクは2年とほかの参加者よりも短かったこともあり、すぐにバイクに慣れた感じだ。公道では中型の400に乗っていたが、今回初めてビッグバイクで、「大きいバイクはすごく乗りやすかった」とコメント。
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前田さんは「25年ぶりのバイクでした。目線が下がり気味だったり、乗っていた時の感覚をけっこう忘れていました。でも慣れれば乗れると思います。ちょうど今教習所に通い始めたようなもの。これからも走りたい」とコメントしてくれた。
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このパラモトライダー体験走行会は順調に月に一回の開催となっている。が、今後の予定は未定という状況。あくまで開催は参加希望者とサーキットとの調整によるもので開催をして行くという。非常に順調に開催をしているようにみえるが、まだ、試乗車両、スタッフの数もあって、制限を掛けざるを得ない状況だ。
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もちろん、参加者にしても、本来なら、乗ってみたいという意思を持って会場まで足を運べば、そのままバイクに乗れるのが一番なのだが、それも現在のところできない。というのも、帯同する理学療法士の先生が、参加希望者の身体の状態を確認し、走行の可否を判断し、スタッフともその対応を含めた情報共有をしたうえで実際に受け入れるという形となっている、からだ。

しかし、それでもこの日も会場に2名の見学者がやってきた。少しずつではあるが、着実にパラモトライダーの輪は広がってきている。これからもこの広がりに期待したい。

意外と気軽に参戦できるJEVRAシリーズ!
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以前も紹介した通り、このJEVRAシリーズは、実はとても敷居の低いレースシリーズでもあります。最低限必要なものは、参戦する車両とヘルメット、有効な免許証とエントリーフィ(お金)でOK。サーキットライセンスも不要ですし(もちろん、レースで使用されるフラッグ類の意味を理解していることは必須)、長そで長ズボンでグローブ(軍手でも可)をして肌を露出しなければOK。競技に有効な保険に入る必要がありますが、これはJEVRA共済保険(1000円/1口)に入ればOK。

エントリーフィも、エコエントリーという早割制度があるので、それを利用すれば正規エントリーフィの半額となる5万5000円(税込)で参戦が可能なのでこれを利用するのがお得。逆にエントリー期間を過ぎた遅延エントリーとなると正規フィ(税込11万円)の1.5倍に跳ね上がるので注意が必要です。他には自走でサーキット入りするなら充電設備使用料1万1000円も用意しておくのがよいでしょう。
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車両も、特別な準備は必要ありません。市販車クラスに参戦の場合は、基本的には車検が通る状態で、車検証に準ずることとなります(車両重量は車検証上の重量の98%以上なければならないし、シートの座席数もロールバーを装着しない限り変更できない)。逆にいろいろやりすぎて、元に戻す羽目になったチームもあるくらいです。ただ、サーキットの路面は通常の公道の舗装とはちょっと違っていますので、タイヤは準備したほうが良いかもしれませんね。

レース自体は、毎戦ダイジェストの動画がYouTubeに上がっていますので、それを見てもらえば雰囲気がわかると思います。レース中は、ドライバーからですと全体の動きがわかりませんので、状況把握のため、できればピットクルーを用意しておくといいでしょう。過去にはピットクルーを息子に託していたというドライバーさんもいましたから、家族で参戦というのもいいかもしれません(ピットクルーは満18歳以上という条件があるので注意)。

レースは予選と決勝を1日で行うワンデー・レースです。レース当日の流れとしては、車検とブリーフィング(今季は新型コロナウィルス感染症拡大の影響で事前の配布資料による形式で行っており実際に顔を合わせてのブリーフィングは実施していません)の後、15分間の予選セッションでグリッドを決定します。そして充電時間を経て、決勝レースとなります。

決勝レースも30分と掛からないので、実際の走行時間は短いのですが、レースとしては丸一日つぶれます。なんと言っても充電時間がしっかり取られていますから。だいたい朝8時ごろに参加受け付け、その後車検があって、午前10時台に予選。その後長い充電時間があって、夕方3時過ぎに決勝レースという流れです(サーキットのスケジュールによって多少変動がありますがだいたいこのイメージです)。
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遠方からの参戦ですと、ちょっときついですが、この長い休息時間ともいえる充電時間が、各エントラントのコミュニケーション時間となっているのも事実です。他のレースでもそうですが、同じシリーズに参戦しているエントラントというのは概して仲が良くなるものですが、なんと言っても毎戦毎戦4時間以上何もすることない時間があって、JEVRAシリーズの参戦者は特に仲が良いかもしれません。レース戦略や車両の扱いまで、ここでさまざまな情報交換が行われています。

わずか30分足らずの、いわゆるスプリントレースですが、それぞれが限られたエネルギーで如何にその消費電力を抑えるか? 制限のある発熱をどうやって抑え込むのか? トップのペースを見ながら自身の周回数を計算しながらどこでライバルに仕掛け、最後に逃げ切れるのか? ここには意図せずして耐久レースの要素もしっかり盛り込まれており、さまざまなノウハウがあるのです。

レース中の走行モードの選択や回生ブレーキの有無(回生ブレーキでエネルギーの出し入れをするとバッテリーの熱アラートが出てしまうということで回生を切るエントラントもいました)、そしてレースのポジション取り(以前は「最初に前に出たら負け」と言われていました)、そしてもちろんエネルギー消費を考えたコースでのライン取り、と実はそうとう奥が深いレースでもあります。奥深い戦略を駆使して戦う面白さ、こればかりは実際にレースに出てみないとわからないですね。

まさに黒船来航! これまでとは異次元のレースに進化
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JEVRA(Jpan Electric Vehicle Race Association)シリーズ2019シーズン最終戦に、これまでのセオリーが通用しないレースに大きく変わる出来事が発生しました。それは、テスラ『モデル3』の参戦です。モデル3の登場によって、JEVRAのレースはそれまでとは異次元のレースに生まれ変わったのです。

ここまで10年間、レースを引っ張ってきたのは、テスラロードスター、そして打倒テスラを掲げてトヨタ86登場と同時にその86をコンバートEVへと改造した大阪・繁原製作所の「FT86EV」、そしてテスラモデルSといった参戦マシンでした。

また、レースをリードする車両は入れ替わりながら、そのいずれもが、レース途中でペースを落とし、後続のペースを見ながらそのマージンを測りながら総合優勝を重ねる戦術が確立されつつありました。

ところが、テスラモデル3は容赦ない走りでそのレース展開を大きく変えたのです。端的にいって、これまでのEVとは比較にならない速さと強さを持っているのです。

2019シーズン最終戦に突然1台が参戦しデビューウィンを果たすと、2020年開幕戦には2台、第2戦には3台といった具合に毎戦複数台が参戦。テスラモデル3同士のガチガチのバトルを展開しながら、後続の動向などどこ吹く風といった具合で、全く別世界のレースを展開しています。
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その後塵を拝す形となった日産リーフe+は、6月に開催された第2戦筑波50kmレースでまさかの3周遅れ(それでも3台のテスラモデル3に次ぐ4位でフィニッシュ)というとんでもない速さの違いを見せつけられたのです。

さすがに、8月9日に開催となったJEVRA第4戦では、同じ筑波でもレース距離が伸びて55kmレース(周回数)となり、非常に暑い中でのレースで、レース後半にはバッテリー温度の上昇もあってペースが下がり、日産リーフe+との差は2周遅れに留まりましたが…。

過去10年でここまで差が付く展開はありませんでした。1周遅れ、2周遅れといったところで計算を重ね、周回ペースを作ってきた参加者たちも舌を巻く速さで、「これまでのレースがいかに平和だったのか」と思わずつぶやく選手がいるほどです。

その速さは、これまでのテスラの車両と比べても圧巻。このモデル3から刷新されたモーターや、バッテリーを含めた駆動ユニットの冷却などのアップデートによるところが大きいようです。他にも、汎用性を高めた足回りなど、数多く存在するアフターパーツが使いやすくなったこともあります。
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現在2020シーズン開幕4連勝している地頭所光選手のテスラモデル3(#1 TAISAN 東大 UP TESLA 3/EV-1クラス)は「アンプラグド・パフォーマンス」というアメリカのチューナーの車高調やスタビライザー、ブレーキパッドなどを採用しています。

ホイールはエンケイのGTC01RRに履き替えてもいます。他には前席2座ともにブリッドのフルバケットシートにしていますが、内装をはがしたりといった過度な軽量化は行っていないようです。熱対策ということでラジエターに水を直接噴霧する装置(タイサン製)も追加しています。毎戦車両のセットアップは進化し車両にも慣れてきているようで、高温でタイムの出にくいはずの第4戦では、同じ筑波サーキットで開催された第2戦の予選タイムを上回るベストタイム、1分3秒138を記録しています。

JEVRAシリーズも歴史を積み上げていくなかで、参戦車両の進化にも要注目です。

車両も完調、エアコンも復活したし、といっても、実際のところCOVID-19の感染拡大により、仕事もなかなかない状況が続き、ギャランAMGの出動に関してもなかなか出番のない日々。

おまけにこの猛暑の中、クルマに寄り付くこともないままの日々が続いていたが、たまたま先日駐車場に出向くことがあり、何気なくギャランをのぞき込むと、ダッシュボードに置いていたものが異様な形状をしていることを発見。
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ダッシュボードに置いていたものというのは、バッテリー上がりを繰り返していた際に購入したジャンプスターター。モバイルバッテリーとしても使用できる小型のリチウムイオンバッテリーだ。

クルマを動かさないつもりでいた際には、たまにエンジンを掛ける度に世話になっていたが、車検時にバッテリーを交換したし、その後は良く乗るようになっているので、あまり使用することなく、なんとなくダッシュボードに置き去りにしたまま。
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で、慌ててクルマから下ろしてみると、明らかに内部に大きな変形があったことが見て取れる。変なガスとか液体が噴出しているようにも見えないので、まずはそのケースを開けてみることに。
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中身のバッテリーは案の定激しい変形を見せていたが、発火の跡もなく、とりあえずホッと胸をなでおろした次第。もうさすがに使用できない状況ではあるものの、だからとってこれをそこらへポイっというわけにもいかない。廃棄については基本的には各自治体の指示に従うことになる(使用可能な状態なら、回収ボックスへ持ち込むという手もある。JBRCのサイトで回収協力店などの検索ができるようだ)。

積極的な招致活動により、2020年シーズンのFIA世界ラリー選手権(WRC)のカレンダーに第8戦・最終戦として組み込まれたラリージャパン。11月19日(木)から22日(日)の期間、愛知県長久手市にある愛・地球博記念公園(モリコロパーク) にラリーHQ、サービスパークを置き、愛知・岐阜両県にまたがる19(総距離307.78km)のSS(スペシャルステージ=一般公道を封鎖した競技区間)、715.77kmのリエゾン区間(SSとSSの間の一般公道の移動区間)により、このラリージャパンの総走行距離は1023.55kmである。
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10年ぶりの日本国内でのWRC開催で多くの関係者が喚起したが、今シーズンがスタートし、新型コロナ感染拡大の影響で、FIAはWRCのスケジュールを改訂してきた。それでも、ラリージャパンはシリーズ第8戦・最終戦として行われることとなっていた。

しかし、その終息が見られぬまま、8月19日(水)、FIAからラリージャパン中止の発表がなされた。ラリージャパン運営事務局からも、FIAの発表と同時にリリースが出され、大会実行委員長の
とコメントが伝わった。

地元関係者からは、「今年の開催が無くなってしまうのは本当に残念ではありますが、この状況下では仕方ありません。逆に1年の余裕ができたとこれを前向きに捉え、またこれからも地元の皆さんにWRCのプロモーション活動を展開し、その魅力を少しでも広く伝えていきたいと思います」とコメントしてくれた。

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