オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2019年08月

2019年8月20日(火)から22日(木)まで、東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「エンディング産業展 2019(ENDEX)」。今回で5回目となるこの展示会には、光岡自動車、そしてカワキタといった富山の霊柩車ビルダー以外にも多くの出展があった。
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光岡自動車は、今回新型の搬送霊柩車「プレミアムフュージョン」を出展した。トヨタ・アルファード及びヴェルファイアの2.5Lエンジンモデル(FFまたは4WD)をベースとした光岡自動車のフュージョンシリーズからデザイン性と機能性を高めた一台となる。
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ほかにも、アルファード&ヴェルファイアベースにストレッチした5名乗車霊柩車「グランドリムジン」。ミツオカオリジナル霊柩車「おくりぐるま」シリーズから「ガリューV オーバーハングストレッチリムジン(2名乗車)」や「リューギ センターストレッチリムジン(2名/3名乗車)」の4台を展示した。

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また、光岡自動車とともに富山で霊柩車の製造販売を手掛けるカワキタは、オリジナル霊柩車の「カワキタクラシックLクラス(日産ティアナベース)」と、ストレッチモデルの「ヴェルファイア霊柩車(5名乗車)」の2台を出展した。

他にも実車の展示を行ったビルダーも多い。北海道・東北地区で唯一のビルダーである山形の大江車体特装は群馬のハースと共同出展という形で、この展示会に出展。
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大江車体特装はOSTブランドでヴェルファイアをベースにした霊柩車を出展。この寝台搬送車は、すでに納車先の決まっているという一台で、3名乗車が可能で、レールをオフセットした棺台式の搬送車にも使用できる霊柩車。シンプルで葬儀と搬送の両方に使えるというフューネラル業界のニーズを汲み取った、今の時代に合わせたモデルといえる。
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共同出展のハースは、5ナンバーサイズミニバンであるトヨタ・エスクァイアをベースとした3名乗車の霊柩(搬送)車を出展。こちらは、5ナンバーサイズのこの車格が必要となる環境も多いというところから製作されている。3名乗車を可能としたシンプルなつくりであることもその特徴の一つといえる。

近年フューネラル(葬儀)業界では、規模の縮小化という問題に直面している。これまで主流であった、それなりの規模を持った葬儀会場で多数の関係者を集めてお通夜・葬儀・告別式を行うという方式から、密葬や家族葬といった極近親者だけを集めての小規模単位の葬儀が多くなるなど葬儀の形も変化の移行。

さらには葬儀の多様化もあって、このフューネラル産業への新規参入も多いという。
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そんな新規参入組に支持されているというのが、燈台舎が手掛ける軽自動車をベースにした霊柩車および寝台車。低コストで導入することができ、年間の維持費も低く抑えることができる。セレモニーに使うのではなく、直葬専用車としての活用にも対応できる。
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出展していたのは霊柩車となっていたが、外観はアメリカのスクールバス風にカスタマイズされている。少しふざけているのでは?と思うのだが、それについては理由があり、軽自動車然としているのは、あまりにも…ということからあえて形状を変更して、軽自動車であることをあえて隠すのだという。車内は助手席までをつぶしてレールを設置。きっちりと長さはキープされており、運転席の後ろの後席の使用も可能となっている。

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もう一つ、車両を出展していた企業があった。それがアイライフマネージメントの移動葬祭車という提案。こちらはトラックをベースに、その荷台スペースを葬祭スペースとして使用できるようにスライドして拡大できるというモデル。葬儀、お別れ会、さらには初七日といった法要を、会社の駐車場や故人の思い出の地といった希望の場所で行おうというニーズに向けて製作されているという。
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すでに、製作はもちろんメンテナンスにも高額な費用が掛かる宮型霊柩車(仏壇やお寺の屋根のような華やかな神道・仏教風建物をイメージした屋根を乗せたモデル)は完全に廃れ(一部では公道走行不可の自治体も増えてきている)、現在は、ここで紹介したような洋型霊柩車に置き換わっている。また、洋型霊柩車でも以前はロールスロイスのような高級輸入車のバン型霊柩車が多かったが、最近は国産のミニバン、そして国産普通車をベースにしたモデルが多くなっている。
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さらには、セレモニー用の霊柩専用車ではなく、病院などからの遺体の搬送にも使える搬送・寝台兼用車が、葬儀社からのニーズ高いという。また、この会場にはアジア圏のバイヤーも多数来場しており、これら霊柩車ビルダーへの問い合わせも数多く、実際に搬送霊柩車の輸出という動きもあるという。

東京都江東区の東京ビッグサイトで開催された「エンディング産業展 2019(ENDEX)」で、光岡自動車が搬送霊柩車の「フュージョン」シリーズに新たに追加設定された「プレミアムフュージョン」をお披露目した。
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搬送霊柩車は、亡くなった方の遺体を搬送する搬送車と葬儀の場で使用する霊柩車の機能を併せ持った車両で、光岡自動車ではトヨタ・アルファード及びヴェルファイアの2.5Lエンジンモデル(FFまたは4WD)をベースとしたフュージョンシリーズとして展開している。
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今回発表されたプレミアムフュージョンは、これまで光岡自動車がラインナップしていたフュージョンから製造工程の見直しを行い、納期とコストを抑えながらもニーズに合わせてデザイン性と機能性を高めたモデル。

車室内の各種パーテーションやサイドラック類、さらには革や木目調パネルの種類や色の変更も可能なオーダーメイドインテリアのシステムも用意されている。
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外観では、クォーターピラーに霊柩車でおなじみのS字型のランドボー(幌開閉のための金具で、幌馬車で遺体を運んでいた名残)プレート「KIZASHI(キザシ)」を標準装備。車両サイズはベース車と変わらず全長4945×全幅1850×全高1935(mm)。乗車定員は3名となる。
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価格は537万8400円(FFモデル)、563万7600円(4WDモデル)となる(いずれも税込価格)。

このエンディング産業展では、同じアルファード及びヴェルファイアをベースとした霊柩車「グランドリムジン」も展示。こちらはホイールベースを140㎝ストレッチした洋型霊柩車で、ボディサイズは全長6330mmとなるが、5名乗車が可能。
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また、ミツオカオリジナル霊柩車「おくりぐるま」シリーズ(ミツオカブランドのカスタムカーである「ガリュー」や「リューギ」のフロントフェイスを持つシリーズ)も展示されていた。

8月17日~18日、栃木県にある日光サーキットを舞台に「ドリフトキングダム第4戦」が開催。シリーズ後半戦に突入した今回、この両日ともに終日真夏の太陽が照りつける好天に恵まれたが、かえって熱中症が心配される2日間となったが、夏休みということもあり、厳しい暑さの中多くのドリフトファンが応援に駆け付けていた。
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審査区間は、日光サーキットの最終コーナーから4コーナー出口まで。審査員席は1-2コーナーのアウト側に設けられ、1コーナーの進入速度の計測も行われる。審査は、ドリキンこと土屋圭市審査委員長と、過去に幾度もD1GPのタイトルを獲得してきた今村陽一審査員の2名だ。
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この真夏の対戦に、クラブマンクラスは26台がエントリーしたが、プロクラスは14台と少し厳しい台数となった。17日(土)に行われたクラブマンクラスでは、予選単走トップ通過の船橋 竜選手(#64 ガレージミラルダS14 VL)が、第2戦間瀬に続く2勝目を挙げた。
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船橋選手は「今日はガレージミラルダのお客さんがたくさん来てくれていて、その気持ちがのっかって優勝できました。これまではドリフトは個人戦だと思っていたんですが、今回チームプレーなんだと実感できました」とコメント。今村審査員からも「プロクラス通用する可能性あるレベルの追走を見せてくれた」と高評価であった。

そして迎えた18日(日)。通常ならベスト16からの追走トーナメントとなり、今回はプロクラスの参加台数が14台ということもあり、全車が予選通過し、単走上位入賞者はシードで1回戦不戦勝という流れで行われるはずだった。しかし、これをベスト8からにしようという提案がなされ、6台が予選落ちするという厳しいものとなった。
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そしてスタートした予選単走セッション。今回エンジンを2.2リッターまで排気量アップしてきたトヨタMR2を駆る金田健人選手(#20 アサオレーシングMR2/SW20)が素晴らしい単走を見せると、日光サーキットを得意とする石塚進一選手(#11 オートガレージS R33/ECR33)もいいラインで迫力もある走りを見せる。さらに、最近実力をつけてきた兼森啓太朗選手(#223 オートテックチェイサー/JZX100)も進入速度126km/hで角度もしっかりつけての走りを披露。それに続く益山 航選手(#530 3代目マスビア/S14)も、といった具合に各選手が緊張感のあるドリフトを見せていく。
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一方、ドリフトマッスル最終年チャンピオンの前田 翼選手(#74 VITOURオデエイティー/RPS13)はこの単走で大きなミスはなかったものの追走に残れず、といった過酷な予選セッションとなった。金田選手、兼森選手ともに2本目は失敗してしまったものの、“置き”に来るのではなく2本ともにしっかり攻めた結果であって、今村審査員も「走りに気迫があった」とこの予選を高評価。
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この予選をトップで通過したのは、前戦SUGOで優勝を果たした川井謙太郎選手(#109 AUTO-TEC チェイサー)。進入速度はなんと133km/hで、それをきっちり止め、土屋圭市審査委員長も納得の100点満点。チェリオ賞を獲得した。兼森選手がこれに続き、オートテック・チェイサー2台がトップ通過。そして世界のマスーこと益山選手がこれに続いた。
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太陽に雲がかかって多少過ごしやすくなった午後2時、ベスト8によるトーナメント追走決勝がスタートとなった。1回戦では、この日乗れている金田選手と対戦となった斎藤久史選手(#134 mature with 宮精密)の対決。金田選手は先行ではポイントリードしたものの、後追いで離され敗退。益山選手と藤間勝也選手(#27 ガレージサムライカラス180/RPS13)の対決では1本目で藤間選手がミス。2本目は後追いの益山選手が素晴らしい追走を見せ、会場から拍手がわきあがるほどで、2人の審査員も「うまい」と納得の追走となった。また予選で素晴らしい走りを見せた兼森選手も1本目に失敗。対戦相手の石塚選手の安定した走りに、1本目のポイント差を覆すことができず敗退。
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ベスト4となった2回戦では、川井選手と斎藤選手の対決はこの日唯一のサドンデスに持ち込まれたものの、2回目の2本目、最終コーナーで斎藤選手が失速して2台が接触。この勝負では川井選手が勝ち上がった。前戦リタイアを喫した益山選手は、しっかり走り切って石塚選手を退け勝利。そして迎えた決勝戦では、会場から再び拍手がわき起こる後追いを益山選手が披露。2本目では先行の益山選手が川井選手を引き離して圧巻の勝利を手にした。
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益山選手は、前戦SUGO戦はマシントラブルで出走できなかったことから、今回はスペアパーツも準備しての参戦であった。「SUGOでのノーポイントが痛いです。シリーズタイトルに絡めるかどうかわかりませんが、川井選手には負けたくないし、負けないように残り2戦を戦いたいと思います」とコメントしてくれた。川井選手は「今日こそ自力で優勝したいと思っていましたが、悔しいです。次回こそ完全優勝を狙いたいと思います」とコメント。「この暑さでパワーが落ちて厳しい一日でした。3位に入れたことはよかったです」と斎藤久史選手(3位)。
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土屋審判員長は「今回は決勝をベスト8に絞ってよかった。個人的にも面白かったし、選手みんなが単走からグッとくるものを見せてくれた。エントリー台数は少なかったけど粒ぞろいでいい走りだった」とコメント。今シーズンのドリフトキングダムも残り2戦となった。続く第5戦は、10月19日(土)~20日(日)の2日間、奈良県・名阪スポーツランドのCコースで開催となる。

アメリカ・コロラド州にある標高4302mのパイクスピークを舞台に6月30日(日)に97回目の大会が開催されたパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)。観光道路を使用したヒルクライムレースで、さまざまな4輪、2輪のマシンによって競われるのだが、7月26日(金)にバイク(2輪)部門の一旦休止が発表された。
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パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムは、標高2862mのスタート地点から頂上まで、全長20km、コーナー数156のコースを、いかに速く駆け上がるかを競うレース。スタート地点も標高が高いため、走っていくにつれ酸素は薄くなり、頂上のゴール付近では、内燃機関エンジンの出力は約30%低下するともいわれている。

もともとダート(未舗装)の登山道だったが、2012年にコースは全域で完全に舗装された。それに伴い、2輪参戦モデルは、それまでのダート系から近年はロードモデルが大半を占めるようになっている。
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ところが、2019年の大会では、予選トップで通過し、2輪部門の優勝候補といわれていたカーリン・ダン選手(#5 2019年式 ドゥカティ・ストリートファイターV4 Prototype)が、チェッカー直前の最終コーナーでコースアウトして死亡。他にも、2014年は決勝レースで、ボビー・グーディン選手がゴール直後、2015年は練習走行中にカール・ソレンセン選手が転倒し、両名が亡くなる事故が起きている。

このような事態を重く見たパイクスピークの実行委員は、すでに2輪部門参加のエントラントへ参戦者側の立場での意見集約をすすめており、2019年のイベントの内容を精査しているところ。そして、今後の継続的な2輪部門の開催の可能性を検討することを視野に入れつつ、2020年は2輪部門の開催をいったん見合わせることとした。
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2輪部門の競技を一旦不開催とすることで、その影響などを計るということだ。継続開催の可否については、98回大会開催後となる2020年後半に決定されるという。

パイクスピークでの2輪部門は、開催初年度から存在してはいる。しかし、97回の大会中に41回の開催と毎年行われてはいないのだ。また、以前は全2輪部門参戦者が一斉にスタートする方式が取られていたり(現在は1台ずつの出走)、その時々に応じて競技の形態も変化してきてはいる。

アメリカで人気のレース「ナスカー」。ここにタイヤを供給するのがグッドイヤーだ。1レースウィークには、3000本のタイヤをサーキットに持ち込んでいる。テレビとかへの露出もあることから、マーケティング、そしてブランディングのためというのが大きな目的の一つだ。しかし、その原点は、自社が持っている技術力をアピールするというところだという。
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ナスカーへのタイヤ提供には、技術的観点から新製品の開発に役立つところが多い。とくに市販のトラック用タイヤや飛行機用タイヤにはレースタイヤに似たものがあって、ナスカーで培った技術はそういったところにも応用できるという側面もある。具体的には、レースでは走行中にタイヤの温度は上昇し、カーブで掛かる横Gもすごい。車体の下面に発生する熱は、市販車のそれとはレベルが違う。
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だから「このナスカーというレースの現場が自分たちの技術力を証明できる場所になっている」とモータースポーツ最高責任者グレッグ・スタッカー氏は語る。

現在ナスカーにタイヤを提供しているのはグッドイヤー一社のみ。「ナスカーとの関係は良好です。ここ十数年来、非常にいい関係性を築いていて、ナスカーはグッドイヤー抜きにしては何も決めないし、我々もナスカー抜きでは何も決めない。だからこそいい関係性を保っています」とスタッカー氏。
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ナスカーのタイヤは、パンク対策としてホイールに2つのエアバルブが設けられている。つまり通常のタイヤの中にもう一つチューブタイヤが入っている、そんな感じだ。
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もちろん他のシリーズ同様、タイヤの使用本数制限がありバーコードで管理されている。もちろんマシンの接触やクラッシュなどでこのバーコードも見えなくなる可能性もあるのだが、実はタイヤ内部にICチップも同時に埋め込まれており個別の認識が可能となっている。

「ナスカーは、現在(空力性能の向上から)ダウンフォースが増えていっている状況で、7世代目のボディ『Gen7』は2021年から導入予定だが、そこでタイヤサイズはついに18インチになる。だからそれに向けて、ナスカー、チームとも話し合いをしながらGen7に対してどういったタイヤが必要か、というのを検討しているところです」

「グッドイヤーは今後もサポートを継続していきますし、グッドイヤー・タイヤがナスカーから消えることはないと思いますよ。開催時には必ず周辺を飛行するグッドイヤーのロゴの入った飛行船がナスカーの場にやってこなくなる、なんてこともないと思う。我々としてはできるだけ長く続けたいと思っています」
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最後にスタッカー氏はナスカー用のタイヤの開発の難しさについても答えてくれた。

「もちろんF1にしろインディカーにしろ、それなりにスピードもあるしダウンフォースもある。けれども車体が絶対的に軽い。それに比べナスカーは、車体はかなり重い。さらにダウンフォースが強くなってきている。それなのにタイヤはナロー(細い)。4本のタイヤへの負荷はすごく、それだけ開発は難しくなっています。それは我々にとってチャレンジングな開発。同じマイルのコースでも全部性質が異なっていて、ちょっとずつパッケージが違う」と語る。近々新たなナスカー用タイヤが発表される。その内容にも注目したい。

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