オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2019年07月

7月25日(木)~28日(日)、鈴鹿8時間ロードレース大会第42回大会(以下8耐)が三重県・鈴鹿サーキットで開催された。その決勝レースまえに、練習中の事故で半身不随となった元GPレーサー青木拓磨選手が、22年振りにバイクで走行する“Takuma Rides Again”プロジェクトと題したイベントが行われた。
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このプロジェクトは、青木拓磨選手の兄・青木宣篤、弟・青木治親が「もう一度 拓磨をレーシングバイクに乗せたい」という想いからスタート。8耐に出場するマシンのベースモデルとなるホンダCBR1000RR SP2を拓磨選手が駆り、鈴鹿サーキットの本コースを走るというものだ。
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しかしながら、7月27日は東海地方を襲った台風6号の影響で、鈴鹿周辺の天候も荒れに荒れた。台風は三重県を縦断し、熱帯低気圧に変わりながらも岐阜県へ通過してもなお、鈴鹿サーキットの雨は完全に上がることがなかった。鈴鹿4時間耐久ロードレース、そして予定されていた8耐の練習走行セッションや、トップ10クオリファイの開催もこの大雨の影響を受けた。
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それでも天候は徐々にだが回復していき、グランドスタンド裏に設けられたブリヂストン・ステージで午後5時30分から、そしてコカ・コーラ・ステージでは午後6時からと、青木3兄弟による今回の顛末を披露する2本のトークショーが行われた。
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それぞれのトークショーでは、プロジェクトの経緯を説明。事の発端は、弟の治親選手が障がい者であってもバイクに乗りレースをしていることを知り、企画書を作ったこと。そのよう治親選手の行動に兄の宣篤選手が驚いた話などが語られた。
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拓磨選手も、事前のテスト走行での走りの話や、自分一人ではどうすることもできない「バイクという乗り物」に対して距離を置いていたことなども披露され、さらに、会場にこの3名がやってくることを待っていたファンに対しての感謝もあり、兄弟皆が目を潤ませながらのトークショーとなった。
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トークショーが終わったころには夕日が出て、翌日の好天を予感させるきれいな夕焼けが出現。本当は、この後の8耐前夜祭で鈴鹿東コースを青木拓磨選手が走行する予定だった。しかしながら、安全性を考え、走行は中止となり、前夜祭のグランドスタンド前ステージでのトークショーでこの日の拓磨選手の出番は終了となった。 
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そして迎えた鈴鹿8耐の決勝日となる7月28日(日)。ウォームアップ・セッションが終わった後の午前10時前にスタートしたオープニングイベントに青木3兄弟が登場。「(拓磨が)鈴鹿に帰ってきたよ~」というMCの言葉に場内からは割れんばかりの拍手が沸き起こる。その拍手に3兄弟は目を潤ませるが、それは観客席にいるファンの涙も誘った。
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そして、拓磨選手が常に使っている24のゼッケンをつけたCBR1000RR SP2のエンジンを掛けると、場内全体が拍手でこれを送り出した。ホームストレートに残った宣篤選手と治親選手は抱き合って涙を流し、観客席のすべてが感動の渦に巻き込まれた。

走り出した拓磨選手は、その観客席にまずは手を振ってコースを駆けていく。この週に出来上がったばかりの2輪用のヘルメット(現在使用できるヘルメットは4輪用のものしか持っていなかった)、革つなぎに現役時代を彷彿させるバンダナを首に巻いて走る姿は、あの当時を知っている者にとっては本当に涙ものだ。
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予定されていた通り鈴鹿のフルコースを2周半走行し、ピットロードに戻ってきた。待ち構えていた兄弟とともに、ピットウォーク中の多くのファンがすぐに取り囲み、3人は身動きが取れないほどだった。
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走行後、拓磨選手は「最高でした。障がいを負ってからでも、チャレンジすることをあきらめなければ夢は叶うってことを皆さんに伝えていければ」とコメント。拓磨選手の次のチャレンジである、2020年のル・マン24時間レース(フランス)に向けてさらなる努力を重ねていく。

アメリカで人気のレース「NASCAR(ナスカー)」の3大カテゴリーのひとつである、「2019NASCAR Gander OutdoorsTruck Series(トラック・シリーズ)」にフル参戦している服部茂章代表率いる「Hattori Racing Enterprises(HRE)」が、さらにトヨタ・スープラで「NASCAR XFINITY SERIES(エクスフィニティ・シリーズ)」の第16戦にスポット参戦した。
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HREが参戦するのは、デイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催となる「Coca-Cola Firecracker 250(7月5日決勝)」。トヨタ・スープラ(#61 AISIN GROUP TOYOTA SUPRA)のドライバーは、今シーズンHREでトヨタ・タンドラをドライブし、トラック・シリーズに参戦する若手・オースティン・ヒル選手。ここデイトナ・インターナショナル・スピードウェイで開催された今シーズンのトラックシリーズ開幕戦で、優勝経験があるドライバーだ。

エクスフィニティ・シリーズの参戦車両は、その頂点といわれるCUPシリーズ「MONSTER ENERGY Series(モンスターエナジー・シリーズ)」の車両と同じくクーペスタイルの車両を使用する。エンジン排気量は、モンスターエナジー・シリーズの車両と同じもののインジェクションが使用でき、最高エンジン回転数も大きく変わる。またシャシー部分も細かなところで変わっており、別物といえる。
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エクスフィニティ・シリーズには、フォード・マスタング、シボレー・カマロといった車両が参戦している。今シーズンのトヨタの車両は、昨年までのカムリから新型スープラに代わり、開幕戦では、なんと10台ものGRスープラが参戦。今回も計8台のスープラが参戦している。これまでエクスフィニティ・シリーズは15戦を消化し、スープラは7勝を挙げている。
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今回エクスフィニティ・シリーズに日本人オーナー・チームとして初めてスープラ(#61 AISIN GROUP TOYOTA SUPRA)を走らせるHREは、前日に行われた練習走行で41台中26番手とまずまずのポジションに付けていた。そして決勝日となる7月5日(金)は、午前中から雨が降るなど天候は不安定で、当初の予定では午後3時35分から予選セッションが開催されるはずだったが、2転3転しながらも無事に午後4時にはスタートした。
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2番手スタートとなるHRE16号車のオースティン・ヒル選手だが、ピットロードから走り出したものの、1周することなく、ターン4からすぐにピットロードに入りクルマを止めてしまう。
ミッショントラブルが発生したということで、チームはガレージにマシンを戻して確認をしたが、予選セッション中のマシン復帰は不可能と判断。この初参戦のレースを予選DNS(Do Not Start)という結果で終えてしまう。

予選では、シボレーの#2テイラー・レディック選手(47秒938)でポールポジションを獲得。2番手には同じくシボレーの#10AJアルメンディンガー選手(48秒060)が付けた。トヨタ勢トップは8番手の#20クリストファー・ベル選手(48秒157)となった。
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同日午後7時30分から決勝レースが行われる予定だったが、午後6時半を過ぎたころから周辺は激しい夕立に見舞われ、その雨はスタート時間を過ぎても止むことなかった。だが、オフィシャルスタッフが懸命のコース乾燥作業を行い、午後10時過ぎレース開催となった。

HREのエクスフィニティ・シリーズへの挑戦、次の参戦はテネシー州ブリストルで開催の第22戦「Food City 300(8月16日/ブリストル・モーター・スピードウェイ)」となる(予定)。

「NASCAR(ナスカー)」の3大カテゴリーのひとつである、「2019NASCAR Gander OutdoorsTruck Series(トラック・シリーズ)」にフル参戦している服部茂章代表率いるレーシングチーム「Hattori Racing Enterprises(HRE)」。ついにトヨタ・スープラを「NASCAR XFINITY SERIES(エクスフィニティ・シリーズ)」に参戦させた。
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フォード・マスタング、シボレー・カマロといった車両が参戦しているエクスフィニティ・シリーズ。今シーズン、トヨタの車両は昨年までのカムリに代わって新型GRスープラとなった。開幕戦では、なんと10台ものGRスープラが参戦。待望のスープラが登場したこともあって、これまで以上に人気が高まっているシリーズとなっている。

今シーズンのエクスフィニティ・シリーズは、2月のデイトナ・インターナショナル・スピードウェイの開幕戦「NASCAR Racing Experience 300」からスタート。スープラは、開幕戦こそ落としたものの、第2戦アトランタ「Rinnai 250(2月23日/アトランタ・モーター・スピードウェイ)」でクリストファー・ベル選手が勝利。スープラのナスカー初優勝で、トヨタのシリーズ150勝を達成した。

その後もスープラの快進撃は止まらず、続く第3戦ラスベガス「Boyd Gaming 300(3月2日/ラスベガス・モーター・スピードウェイ)」では地元のヒーローともいえるカイル・ブッシュ選手が勝利を挙げ、さらに第4戦フェニックス「iK9 Service Dog 200(3月9日/ISM・レースウェイ)」、第6戦テキサス「My Bariatric Solutions 300(3月30日/テキサス・モーター・スピードウェイ)」でも勝利。

代わって第7戦ブリストル「Alsco 300(4月6日/ブリストル・モーター・スピードウェイ)」、第10戦ドーバー「Allied Steel Buildings 200(5月4日/ドーバー・インターナショナル・スピードウェイ)」、第14戦アイオワ「CircuitCity.com 250(6月16日/アイオワ・スピードウェイ)」と、クリストファー・ベルが勝利した。

つまり15戦を消化した現時点で、スープラは、ブッシュ3勝、ベル4勝の合計7勝という快進撃を続けているわけだ。
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ナスカー唯一の日本人チーム・オーナーであり、昨年トラック・シリーズを制した服部代表が次に狙うのが、このエクスフィニティ・シリーズ。今回、エクスフィニティ・シリーズ第16戦「Coca-Cola Firecracker 250(7月5日/デイトナ・インターナショナル・スピードウェイ)」で、スポット参戦ながらも第一歩を踏み出したのである。
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もちろん車両はトヨタ・スープラ。日本人オーナーとして初めてスープラ(#61 AISIN GROUP TOYOTA SUPRA)を走らせる。ゼッケンはトラック・シリーズで使用している16ではなく、それをひっくり返した61。カラーリングは昨年トラック・シリーズで最優秀スポンサー賞を獲得したアイシン・グループの黒とブルーのカラーリングだ。ドライバーは、今シーズンHREでタンドラをドライブしているオースティン・ヒル選手。ヒル選手はトラック・シリーズの開幕戦(今回と同じデイトナ・インターナショナル・スピードウェイ)で優勝してもいる。
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「Coca-Cola Firecracker 250」は、現地時間7月4日(木)の午後に2回の練習走行セッションが予定されていたが、天候不良により2回目の走行はキャンセルとなった。この練習走行1回目の走行タイムは48秒617(平均速度185.120mph)で41台中26番手のタイム。予備のマシンを持っていないHREは、トラブルに巻き込まれないようにあえてパック(集団内)での走行を避けていた。スリップストリームを使えず、速度が伸び悩む単独走行で出したタイムとしては十分。本番での期待ができる結果となった。
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決勝日となる7月5日(金)の午後3時35から予選セッションがあり、同日午後7時30分から決勝レースとなる。レースは1周2.5マイルのコースを100周する。

アメリカ・コロラド州にあるパイクスピークを舞台に、1916年から開催されている「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」、別名「雲へ向かうレース」の97回目の大会が現地時間6月30日(日)に開催された。
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標高2862mのスタート地点から、富士山の山頂より高い標高4302mのゴール頂上まで、全長20km、コーナー数156のコースをいかに速く駆け上がるかを競うこのレース。標高の高さのため、ゴールに近づくにつれて酸素が薄くなり、ゴール付近での内燃機関のエンジンの出力は約30%低下するといわれている。
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今回は、17の国から2輪4輪合わせ88名のエントリーを集めて開催された。その決勝レースは、早朝からの好天に恵まれたものの、ここ数年いつも悩まされていた午後からのヒョウや雷雨といった悪天候に今年も邪魔されてしまう。レース後半でコース短縮が宣言され、スタート地点から中間地点の「グレンコーブ」までの約8.8kmの競技区間に短縮。決勝に進んだ85台中、後半に出走する25台が頂上にたどり着くことはできなかったこととなる。
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ペースカーであるアキュラNSXが山頂に向かい、レースはスタートした。まずは2輪部門が出走をする。その決勝に進んだ27台による2輪の最終出走は、過去このパイクスピークで4勝を挙げているカーリン・ダン選手(#5 2019年式ドゥカティStreetfighter V4 プロトタイプ)であった。2012年に2輪で初めて10分の壁を破る9分52秒819の記録を作り、今年も各練習セッションおよび予選でトップタイムをマーク。そしてこの決勝でもスタートから好調で、セクター1、2、3とレコード更新ベースで走ってきて、頂上のゴール直前でまさかの転倒。そのまま崖下に転落し、すぐに救助されたものの搬送中に死亡が確認された。
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2輪トップは、レニー・スカイスブルック選手(#34 2018年式アプリリアTuono V4 1100/パイクスピーク・ヘビーウェイト・クラス)の、9分44秒963となった。

ダン選手の事故のほか、いくつか転倒もあって、2輪部門で何度もレースは中断。続いて午前11時を過ぎ、ようやく58台による四輪のセッションがスタートした。
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4輪では予選トップからの順で走行が始まる。予選トップであったアンリミテッド・ディビジョンのロビン・シュート選手(#49 2018年式 Wolf TSC-Honda)が9分12秒476、タイムアタック1クラスのラファエル・アスティア選手(#19 2017年式 ポルシェ911 GT3 Cup Turbo)が9分23秒721、パイクスピーク・オープンクラスのピーター・カニングハム選手(#42 2019年式 ACURA TLX GT)が9分24秒433との順で走行。結果シュート選手が最速となったわけだが、昨年フォルクスワーゲンの「I.D. Rパイクスピーク」が出した7分57秒148には遠く及ばなかったものの、「山の男」の称号を得た。

シュート選手は、過去フォーミュラ・マツダなどオープンホイールを経験してきたドライバー。マシンは昨年と同じだが、タービンを変更し、エアロも改良してこれに参戦した。「ミスファイアで完全なパワーを出し切れなかったけれど、マシンのセッティング自体は良かった。路面がとてもバンピーで大変だった」とコメントしてくれた。
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今回4輪3名、2輪3名の日本人選手がこのパイクスピーク参戦をしているが、2輪の新井泰緒選手(#183 1979年式カワサキZ1000)は、今回参戦するバイクの中でもっとも古いマシンだが、11分18秒220のタイムで、エキシビション・パワースポーツクラス3位と大健闘。
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パイクスピーク・ヘビーウェイト・クラスの井上哲悟選手(#54 2018年式カワサキZ900RS)もタイヤ選択をミスしたといいながらも10分36秒884のタイムでこちらもクラス3位入賞した。電動バイクで出走の岸本ヨシヒロ選手(#39 2019年式 TEAM MIRAI Mark Coverdale IdatenX HC)はスタート直後にコースアウトしリタイアとなってしまった。

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そして4輪部門。ルーキーながら予選7番手のタイムをマークした吉原大二郎選手(#86 2013年式トヨタ86)は、ミドルセクションにあるデビルズ・プレイグラウンド直前のコーナーでマシントラブルにより、リタイア。過去2回、この86自体は決勝でゴールまでたどり着いていなかったが今回も完走はできなかった。
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昨年、コース短縮の憂き目にあった小林昭雄選手(#249 2000年式ポルシェ911GT3)、奴田原文雄選手(#230 2019年式日産リーフ)は、予選タイムが振るわずそれぞれ41番目、46番目のスタートと、出走順が遅く今回も頂上のゴールまで走り切ることができなかった。
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小林選手は、セクター1を2分22秒463、セクター2を3分9秒483と、昨年よりもタイムを落としての走行。一方奴田原選手は、セクション1を2分8秒233、続くセクション2を2分47秒694、昨年よりも約16秒上まわるタイムで走行を終えた。

1916年に初開催以来、今回で97回目を数える「パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(パイクスピーク)」。レースウィークが始まる前週まで寒波の襲来で路面コンディションも危ぶまれたが、17カ国から88名の選手が参戦となった今回の大会は、決勝前の練習走行では大きな事故もなく決勝を迎えた。
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アメリカ・コロラド州にあるパイクスピークは標高4302m。標高2862mのスタート地点からその頂上まで、全長20km、コーナー数156のコースをいかに速く駆け上がるかを競うレースだ。標高が高いため、走っていくにつれ酸素は薄くなり、ゴール付近での内燃機関のエンジンの出力は約30%低下するといわれている。もともとダートの登山道だったが、2012年には道路全域が舗装された。
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例年よりも30分、レーススタート時間が早まって午前7時半となり、まずは7時過ぎにペースカーであるアキュラNSXが山頂に向かい、ついに決勝レースが開幕した。

まずは2輪部門が、予選タイムの悪かった順に走行を開始するのだが、いきなりコースアウトが頻発し、赤旗が続く展開に。17番手に出走した岸本ヨシヒロ選手(#39 2019年式 TEAM MIRAI Mark Coverdale IdatenX HC)もコースアウトでチェッカーを受けることができなかった。

さらに予選トップで通過し、二輪部門の優勝候補と言われていたカーリン・ダン選手(#5 2019年式 ドゥカティ・ストリートファイターV4 Prototype)もチェッカー直前の最終コーナーでコースアウト。すぐに救出されたものの搬送中に死亡が確認された。
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日本人で最初にチェッカーを受けたのは、まさに40年モノの名機で参戦する新井泰緒選手(#183 1979年式カワサキZ1000)。今回のエントリーの中で唯一20世紀に造られたバイクだが、11番手に走行開始し、11分18秒220でエキシビション・パワースポーツ・クラス3位を獲得した。完走した新井選手は「今回でパイクスピークへの参戦を一旦中止することにしてて、完走できて良かった」とコメント。

そして日本人2輪選手のトリを務めるのがパイクスピーク・ヘビーウェイトクラスの井上哲悟選手(#54 2018年式カワサキZ900RS)。22番手に出走し、10分36秒884でこちらもクラス3位を獲得している。井上選手は「路面が冷えていると想定し、履いたレインタイヤが完全に合わなかった。転倒はしなかったけど、転倒しそうになった回数は昨年より多かった」とコメント。午前中の気温上昇は想定以上であったようだ。
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午前11時を過ぎ、ようやく58台による四輪のセッションがスタート。四輪は予選タイムの速い順でスタートするが、予選7番手で注目のルーキー、吉原大二郎選手はデビルスプレイグラウンド手前のコーナーでマシントラブルに見舞われ、まさかのリタイア。今回唯一のトヨタ86を頂上まで運ぶことができなかった。
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このころにはすでにコースのボトムセクションあたりで雨が降り始め、これが次第にコース全域に広がっていく。そして午後2時を過ぎると、稲妻が光り、雷鳴が轟き、頂上では冷たい風が吹き始める。午前中とは全く様相が異なるといういつものパターンとなった。
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雷鳴はとどまることを知らず、サンダーストームのため中断が続く。結局は、ロドニー・オマレー選手の65号車がチェッカーフラッグ台に激突したところで、レースは短縮して行なうことが決定された。
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結果、41番手出走の小林昭雄選手(#249 2000年式ポルシェ911GT3)と、46番手出走の奴田原文雄選手(#230 2019年式日産リーフ)の2名は、昨年同様ボトムセクションと呼ばれる標高の低いハイスピードセクションのみでの競技となり、残念ながらレースの全行程を走ることは叶わなかった。
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そして優勝は、予選トップであったアンリミテッド・ディビジョンのロビン・シュート選手(#49 2018年式 Wolf TSC-Honda)が叩き出した9分12秒476。昨年にフォルクスワーゲンの「I.D. Rパイクスピーク」が出した7分57秒148には遠く及ばなかったものの、「山の男」の称号を得た。

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