オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2019年03月

3月最終週の週末となる3月23日~24日の二日間、栃木県日光サーキットを舞台に、2シーズン目となる「ドリフトキングダム」が開幕となった。「ドリフトキングダム」は、2011年から7年間開催されてきた「ドリフトマッスル」が生まれ変わってスタートしたドリフト競技イベント。ドリキンこと土屋圭市さんが「世界でわかりやすい名前」を、ということで名付け親となって誕生したもの。
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審査を行うのは、ドリキン土屋圭市審判員長と、現役GTドライバーである松田次生選手が審判員と加入していたが、2年目のシーズンとなって、さらに審判員としてシリーズに合流したのが今村陽一審判員。D1グランプリ初年度から参戦をしており、過去に幾度もタイトル獲得経験を持つ。ドリフト界では知らない人はいないだろう。今回は土屋圭市審判員長とのツインで審査となる。ちなみに、今回、松田次生審判員はドイツ・ニュルブルクリンクでの走行があり欠席となっている。
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その審査だが「かっこいいドリフトを評価する」ということがベースとなる。ドリフトキングダムでは「クラブマンクラス」と「プロクラス」という名称の2クラス制となるが、今シーズンは、レギュレーションでプロクラスではFHR(頭頚部保護)システムの装着が義務付けられた。いわゆるHANS(ハンス=Head and Neck Supportの略で頭が前方向に伸びるのを規制し首を保護するデバイス)類を指す。これに対して土屋審判員長は「厳しい予算の中でキングダムに出場している選手たちにとって突然10万円もするハンスをつけないと出場できないっていうのはちょっと酷だと思うよ。それに、ドリフト競技って横とか後ろを見ながら走る競技だからその(首を回す)動きを制限するデバイスってのもどうかと思う。JAFやFIAは、もっとその競技の中身を見て判断をしてほしいと思うよ。『お金はないけど腕一本でやっていくぜ』って若者たちにこのレギュレーションを出したことを心苦しく思っている」と2つの点について疑問を投げかける。
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今シーズンの開幕となる日光戦は、寒さの厳しい中での一戦となった。土曜日は小雪が舞うような状況だったが、日曜日は、冷え込みは厳しかったものの朝から風は強いものの、快晴の一日となった。この同じ週末に東京お台場ではD1GPのキックオフイベントが開催となったため、出走台数はプロクラスが11台、クラブマンクラスが22台という、近年まれにみる出走台数の少ない開幕となってしまった。

3月23日(土)に開催となったクラブマンクラスは、単走予選トップ通過の柳下浩一選手(#39 QS・3UPスカイライン・VL)と、花渕大樹選手(#6 AmbitiousマークII)との決勝戦となったが、柳下選手がこれを制し開幕戦優勝。3位には谷岡昭夫選手(#12Mon To Blan)が入った。

そして24日(日)のプロクラス。ドリフトキングダム初代チャンピオンの平岡英郎選手や昨年開幕2連勝を挙げた箕輪慎治選手らが不在という状況であったものの、春休みということもあって会場には大勢の観戦者と子どもたちも来場。非常に多くのドリフトファンに囲まれての開催となった。
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今回の舞台である日光サーキットは、全長1.1km、12個のコーナーを持つミニ・サーキット。ドリフトキングダムでは、バックストレートをスタート地点とし、10コーナーを経て、11コーナーからドリフトを開始しホームストレートで進入速度を計測。4コーナーを抜けるまでが審査区間となる。審判員席は1コーナーの外側に設けられるが、死角となる最終コーナー側にはカメラも設置し、審査区間のすべての様子が審査される。

2本の練習走行セッションを経てスタートした予選単走。通常は予選単走の結果で上位16台が決勝追走に進出するわけだが、今回はエントリー台数が16台に満たないということで、イレギュラーな方式となった。予選上位5台は決勝追走トーナメント一回戦不戦勝となる。
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安定の速さを見せる川井謙太郎選手(#109 AUTO-TEC チェイサー/JZX100)は、2本ともに好成績を残したものの、区間タイムをダントツに速い斎藤久史選手(#134 mature with 宮精密)が2本目にしっかりまとめて川井選手の点数を上回りトップ通過。予選単走3番手は兼森啓太朗選手(#223 オートテックチェイサー/JZX100)、そして石塚進一選手(#11 オートガレージS R33/R33)がこれに続き、昨年のチャンピオンである益山 航選手(#530 3代目マスビア/S14)までがトップ5入り、この不戦勝の権利を獲得。

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午後2時20分から11台による決勝追走はスタートとなった。まずはベスト8進出に向けた3つの追走からスタート。ほぼ順当にベスト8が決まり、引き続いてベスト4を決める2回戦。ここでは、今季ボディカラーをVITOURカラーに変更して参戦する前田 翼選手(#74 VITOURオディエイティー/RPS13)が予選2番手通過の川井選手と当たる。一昨年のチャンピオンで昨シーズンランキング5位の前田選手と昨年ランキング3位の川井選手の追走はこの日唯一のサドンデスとなった。が、それでも勝負がつかず川井選手が競り勝ち2回戦を勝ち残った。

結果ベスト4に残ったのは、予選上位通過した斎藤、益山、川井の各選手と、予選でわずかに及ばず1回戦から勝ち上がってきた長瀬幸治選手(#54 HIRANO TIRE/JZX100)という4名となった。

この日、明らかに乗れている斎藤選手は準決勝で、昨年ランキング2位の益山選手を先行・後追いともに見事な追走でこれを破る。そして4ドア対決となった長瀬・川井の準決勝では、審判員席前で「パキッ」と角度をつけて魅せる長瀬と、進入速度が最も速いスピードの川井というスタイルの違う2人の走りでの追走だったが、詰めきることができなかった川井選手が敗退し、結果斎藤久史選手と長瀬幸治選手という、ともに初決勝戦進出の2名による対決となった。この最後の追走でも波に乗っている斎藤選手は、1本目の先行ではしっかり単走の走りを見せたのに対し、長瀬選手はスピードに乗り切れず、ドリフトも小さくなってしまう。そして入れ替えての2本目は先行する長瀬選手に斎藤がしっかり張り付いて走りきり、斎藤選手が初優勝で開幕戦を制することとなった。3位決定戦では、益山・川井選手当たり、益山選手がきれいな追走を見せ3位に入った。
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優勝した斎藤久史選手は、一昨年当時のマッスルクラス(現クラブマンクラス)からプロクラスへステップアップした選手。昨年の開幕戦4位が最高位で昨年ランキング16位。「どうしても追走が苦手だったので、練習を真剣にやってきました。マシンもエンジンを変えレスポンスの良い乗りやすいクルマに仕上がっていたので、勢いで優勝することができました」とコメント。

2位に入った長瀬幸治選手は、今シーズン、「チームイトウオート」から「HIRANO TIRE」へとチームを移籍してキングダム継続参戦することとなった(昨年のランキングは14位)。「180度環境が変わりました。自分のことだけでなくまわりのことも配慮しなければならない大会となって大変ではあります。ただ契約していただいた2年のうちで優勝します、と宣言していますから、シリーズ前半にいいところにつけていられればモチベーション高くやっていくことができると思うので、今日は良かったと思います」とコメントしてくれた。

この日、パドックでは来場者を対象としたイベントも盛り沢山で、チェリオの「ライフガード無料サンプリング」、「優勝者当てコンテスト」、さらには来場した子どもたちを対象とした「コースde宝さがし」といった催しも行われた。

土屋審判員長は「今日の斎藤選手はまとまってた。冷静だったし、いい走りだった」とコメント。今回キングダム初審査となった今村審判員も「初めてじっくり見させていただきました。個性のあるドライバーがたくさんいましたし、他のドリフト競技でも通用するドライバーもいて今後が楽しみなシリーズだと実感しました」とコメントしてくれた。ドリフトキングダム、続く第2戦は、5月11日(土)~12日(日)の2日間、新潟県にある日本海間瀬サーキットで開催となる。

2018年12月に「ABB FIA Formula E選手権」のシーズン5(2018-2019)がサウジアラビアの首都、リヤド郊外のディルイーヤで開幕。続く、2戦目がモロッコ、3戦目がチリ、4戦目がメキシコと開催され、今シーズンは2019年7月のニューヨークの2連戦を含め、残り8ラウンドが行なわれる。
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その第5戦となる「2019 HKT Hong Kong E-Prix」が、フォーミュラEの記念すべき50戦目のレースとして、香港で開催された。フォーミュラEは、バッテリー容量はこれまでの倍となったことで「Gen2(2世代目のマシン)」へと進化。マシンを乗り換えることなくレースを終えることが可能となった。
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この週末は、太陽の陽光が降り注ぐような天気に恵まれなかった香港戦。決勝レースこそドライコンディションだったが、それまでのセッションはすべて雨にたたられた過去に例のない一戦となった。

決勝前日の9日(土)にシェイクダウン・セッションが30分、決勝当日朝7時半からの45分間のプラクティス1、午前10時から30分で行なわれたプラクティス2がすべてウェット路面。そして予選セッションが午前11時45分からスタートした。
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このセッションでも終盤で大雨が降り、路面状況が大きく変化。雨が降る直前にタイムを出していたストフェル・バンドーン選手(#5 HWA RACELAB)が好タイムを刻み、路面状況も徐々に良くなっていく。トップ6が進出するスーパーポールでも、最後の出走で、路面状況が最もよくなったタイミングで出走したバンドーン選手がポールポジションを獲得した。

午後4時3分にスタートした決勝レースは、特設コース1周1.860kmのコースを45分間+1周するというもの。スタートでオリバー・ローランド選手(#22 Nissan e.dams)がトップに立ち、ポールスタートのバンドーン選手は3番手に後退。コース幅の狭いコースでは各所で激しいバトルが繰り広げられるが、2周目には早くも3台が接触するアクシデントが発生。レースは赤旗中断となる。
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そして、リスタート。再び追突もありローランド選手がスローダウンを余儀なくされ、変わってトップに立ったのはサム・バード選手(#2 Envision Virgin Racing)。しかし、昨シーズンからラチーターでフォーミュラEに参戦するアンドレ・ロッテラー選手(#36 DS TECHEETAH)がうまくパスする。
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2003年から日本のフォーミュラ・ニッポン(現スーパー・フォーミュラ)およびSUPER GTで活躍しており日本でもおなじみのロッテラー選手は、その後トップを譲ることなく、バード選手とテール・トゥ・ノーズでのバトルを展開しながら後続を引き離し、レースをリードしていく。
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その後は2度のセーフティカー導入が行われ、3回目のリスタート後に事件は起こる。2番手を走行中のバード選手がロッテラー選手のマシンに追突。ロッテラー選手は、左リアタイヤのパンクでリタイアすることになった。そして、バード選手、エドアルド・モルタラ選手(#48 Venturi Formula E Team)、ルーカス・ディグラッシ選手(#11 Audi Sport Abt Schaeffler Formula E Team)の順でゴール。仮表彰式まで行われた。
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しかし、バード選手にはペナルティが課せられることとなり6位に降格、モルタラ選手が優勝となった。
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昨年、大阪大学が8年ぶり2度目の優勝を果たした「第16回 全日本学生フォーミュラ大会」から半年、公益社団法人 自動車技術会が2019年大会の参加チームを発表した。
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17回目を迎える「学生フォーミュラ日本大会2019(今回から大会名称を変更)」は静岡県袋井市/掛川市のエコパ(小笠山総合運動公園)で、2019年8月27日(火)~31日(土)に開催。
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学生フォーミュラは、世界各国で同ルールで開催されているもので、学生自身が構想、設計、製作を行った小型フォーミュラマシンを使用して、車両走行性能を実証する競技会だ。アメリカ・イギリス・イタリア・インド・オーストラリア・オーストリア・オランダ・カナダ・スペイン・タイ・チェコ・ドイツ・ハンガリー・ブラジル・ロシア・韓国・中国・日本で同一レギュレーション(一部ローカルルールあり)にて競技会が行われることから、海外から日本大会に参戦するチームも増加している。
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その第17回目の学生フォーミュラ大会の参加チームが発表された。今回は国内外から120チームのエントリーがあったという。その申し込みの内訳は、国内ICV(ガソリン自動車)クラス:66チーム、海外ICV(ガソリン自動車)クラス:22チーム。国内EV(電気自動車) クラス:12チーム、海外EV(電気自動車) クラス:20チーム。
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ただ、120チームのすべてが参戦できるのではない。規則により大会に参加できるのは98チームが上限となっている。過去2大会におけるトップ20位以内のチーム、そのトップ20に含まれない国籍のチームのうち、受付が最も早いチーム(1国1チーム)。直近の海外大会で優勝するなどの主催者が特例に認めたチーム、そして受付の先着順という選定を受け、98チームが決定(その内訳は国内ICVクラス:58チーム、海外ICVクラス:14チーム。国内EVクラス:12チーム、海外EVクラス:14チームとなる)し、17チームがウエイティングリストに名前を連ねている。
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近年の傾向通り、EVクラスへの参加チームがさらに増加(昨年の17チームから5割増の26チームが参戦)しているのが特徴。新規チームだけでなく、成蹊大学がEVクラスに変更して参加することとなった。

省・創・蓄エネに加え、スマートシティ、再生可能エネルギー資源リサイクルに関する技術・製品・サービスが出展する新エネルギー業界の国際商談展示会「スマートエネルギーWeek2019」が、2019年2月27日(水)から 3月1日(金)まで、東京・お台場にある東京ビッグサイトで開催された。
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「第9回[国際]スマートグリッド EXPO」のコーナーでは、電気自動車向けの次世代型急速充電器の出展が相次いでいた。
ABB
スイスに本拠を持つABBは「Terra HP」という、DC400V・DC800Vの両タイプに対応のモジュール式急速充電器を展示。充電時間を最小化するための高出力給電に対応したこの充電器は、充電スタンド「充電ポスト」のみの展示だったが、本来はパワーキャビネットと対になっている。375A/160kWで連続給電できる(最大175kWの給電となる)。これを2つのパワーキャビネットシステムにすれば、対になっている充電ポストからは、500A/350kWの給電が可能となるなど、システム拡張が可能という。
BellEnergy
茨城県にあるBell Energy社は、昨年パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムに参戦したSAMURAI SPEEDチームの日産リーフを展示。アメリカのFREEWIRE TECHNOLOGIES社の次世代型急速充電器「Boost Charger」も展示していた。「Boost Charger」は、160kWhもの蓄電池を備えたモデルだ。

50kWを超える出力の急速充電器を設置するには、高圧受電契約やキュービクル(キュービクル式受変電設備)が必要となるため、設置する側にとってはコスト的に厳しくなってしまう。ところが「Boost Charger」は、低圧受電契約のまま設置ができる。さらに120kWでの出力が可能という。もちろん蓄電池の電力には限りがあるので連続給電には制限があるが、蓄電池が空になっても設定した出力での給電も可能。給電が終われば蓄電池への充電を始めるため、設置者にとっては財布に優しい次世代急速充電システムとなっている。

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