オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2018年07月

「福祉のことがわかる総合イベント」と題された展示会「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2018」が7月20日・21日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で開催された。
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ここに脊髄損傷者の為に開発された歩行支援ロボットが登場していた。台湾「FREE Bionics(フリーバイオニクス)」社の『FREE Walk』だ。昨年末に「USCIジャパン」が取り扱いを開始している。

いわゆるこういったロボットスーツものは、現在では様々なものが存在する。代表的なものとして大きく2つの方式がある。HALなどの筋電を取って動作のサポートをする生体電位を使用するタイプ、そして今回紹介するFREE Walkのような骨格を補助するタイプだ。

その特徴は、股関節と膝関節の動きをアシストすることで、座る・立つ・歩く、といった体位変換時に必要なエネルギーの消耗を抑え、腕力のエネルギー消耗が激しい従来型補助具の問題点を解決するというもの。
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『FREE Walk」は両足に装着して使用する外骨格型のロボットだが、その特徴としてあげられるのが、股関節部分が大きく開くデザインを採用している点(最大90度)。これにより、車いすからの移乗も可能で、結果ひとりでの着脱も可能となるのだ。
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このような歩行支援ロボットは他にもあるのだが、歩き出すための重心移動を強要される製品もあり、脊髄損傷等による下肢麻痺の方にとって、転倒の恐怖が付きまとう。しかし、この『FREE Walk」はコントロールボタンが腰部分と杖側に用意されている。そのため自身の意思で重心を移動することなく足をけり出せるという。また装着部のデザインを工夫しており、褥瘡(じょくそう・体重で圧迫されている場所の血流が悪くなったり滞ることで、皮膚の一部が赤い色味をおびたり、ただれたり、傷ができてしまうこと)のリスクも低減している。
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胴体部のサイズ調整も容易で安定性も向上している。背部構造は薄型の設計としているため、自由な重心移動が可能。装着可能な適応身長は150cm〜190cmで適応体重は100kgまで。ちなみにロボット重量は20kgで、バッテリー持続時間は2時間。歩行速度は2km/hで、スロープ勾配はプラス3度からマイナス5度までとしている。基本的には手と肩の機能が正常な脊髄損傷患者(損傷レベルがT4以下)で、骨密度が一定以上の方が対象となる。実際の使用に際しては、20時間ほどのトレーニングが必要だという。

このUSCIジャパンでは、2020年までに1万人の脊髄損傷者の方に立って歩いていただくという「FREE Walk チャレンジ」という活動を展開中。全国各地で体験イベントを頻繁に開催中だ。

7月20日・21日の2日間、神奈川県横浜市のパシフィコ横浜で「ヨコハマ・ヒューマン&テクノランド2018」が開催された。

「福祉のことがわかる総合イベント」と名付けられた展示会において、「東洋モータース(神奈川県横浜市都筑区)」のブースでは、「ヤナセオートシステムズ」が日本導入を予定する『TMN R11 ロボット』を装着したメルセデス・ベンツ(Cクラス・ステーションワゴン)を展示した。
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ヤナセのグループ会社である「ヤナセオートシステムズ」が日本導入を予定しているイスラエルの「TMN」社の『R11ロボット』は、アームが運転席脇まで伸びてきて、リアゲート内部まで車いすを自動で収納してくれるというもの。
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一人ででクルマ移動する方もリアゲートに車いすを収納できるシステム。展示されたデモカーは、メーカー純正のオートゲート機能が備えられているが、設定なしの車両でも装着を可能としている。すでにイスラエル本国やドイツでは販売・装着実績も豊富で、今回日本導入への動きを始めたわけだ。
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従来の車いすの収納については、そのまま助手席に持ち込んだり、Bピラーにクレーンを取り付けてリアシートに収納、もしくはルーフキャリアに収納という方法もある。

だが、『R11ロボット』の登場によって乗車後の車いすの収納の選択肢をさらに広げることができそう。すでに導入することは決定しており、実際にTMN側からの技術研修も終えている、ということ。残念ながら販売価格は決定していない。

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他にもこのブースでは、「オフィス清水」(東京都荒川区)で取り扱っている「フィオレラ」社(イタリア)昇降式車いす格納リフトを装着したメルセデスベンツVクラス。そして「フィエル」社(スウェーデン)の脱着式スロープBGR25-3を装着したトヨタ・ヴェルファイアを展開していた。
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「フィオレラ」のリフトは、リアゲート用の車いすの昇降リフトなのだが、その特徴は片持ち式であること。車いすを車両に上げた後の車いすの固定などの際に、アームを軸にフラップを回転することもでき、乗車後のケアもリアゲート側から可能となるスグレモノだ。

このような技術は、車いすを使用する人、ケアする人にとって行動範囲と負荷を軽減することは間違いないだろう。

フォルクスワーゲンが歴代記録を塗り替える偉業をなした第96回パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライム(6月24日決勝)ですが、すでにフォルクスワーゲンは、アメリカでの次の挑戦を発表しています。パイクスピークでのファンフェスタ(6月22日コロラドスプリングスで開催)の会場で、その次なる挑戦の車両が登場していました。
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それがこのJETTA(ジェッタ)です。ジェッタは現在日本国内では販売していないのですが、北米などを中心に販売しているCセグメントの車両で、7代目が今年の1月に開催されたデトロイトモーターショーでデビューしています。
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そのジェッタを使用して、挑戦するのがボンネビル・ソルトフラッツ。この会場に展示されたのが「ボンネビル・ジェッタ」です。レギュレーションに定められたホイールとタイヤ、そしてリアには減速用のパラシュートが装着されています。
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ジェッタが参戦するのは、そのボンネビルのBGC/Gクラス。その最速記録は208.472マイル/h。Cd値(空気抵抗係数)0.27というジェッタの空力特性の良さを活かして、これを打ち破りたいとしています。その挑戦が行われる今年のボンネビル・スピード・ウィークは、8月11日から17日にかけて開催予定です。

クスコ・ワークスが登場?

パイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムには数多くの日本車が参戦しています、といいたいところですが、最近は一気に減ってきた感じがあります。

数年前には、スバル・インプレッサWRX、そして三菱ランエボ、そしてトヨタ86&サイオンFRS&スバルBRZ、といった感じで、いわゆるジャパニーズ・スポーティカーは、結構な台数が見られたものです。
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しかし、最近は? というと、ランエボ&インプレッサなどは、以前は簡単にタイムが狙えるクルマとして重宝されていたのに、ガクッと減っています。リザルトを見ても日本車がレコードを持っているクラスが極端に減ってきています。特にタイムアタッククラスなど市販車クラスでは、レコードの書き換えが頻繁に起こっており、旧モデルでは太刀打ちできない、というところまで来ているようです。
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それでも今回も3台のインプレッサ、そしてエボXが1台参戦しています。そのうちの一台、この#151の2000年式WRX Stiを持ち込んだビクター・クーン選手。この車両は2003年のGr.Nのラリー仕様車。
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2010年にパイクスピークに参戦した際は、2回転してコースアウト(当時はコ・ドライバーも搭乗していたが2人とも無事。今回もサルのぬいぐるみがコ・ドライバーとして搭乗しています?)しクルマは大破。それをコツコツと再生し、2016年にはクラス3位を獲得しているということです。
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気になるのは、そのカラーリング。往時のクスコカラーのようで、クスコのパーツをしこたまつけていると思いきや、一切ナシ。車体にもひとつもCUSCO/キャロッセの文字はない。
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聞いてみると、このカラーリングが大好きなのだそう。クスコのパーツはいつかは入れたい、とも。

そんなクーン選手。今回のアタックは天候が急変する一番最後のタイミングで頂上まで上がってきました。濃霧と降雪と、で散々だったようでタイムは15分20秒359でした。次回はクスコのパーツを一つでも装着してさらにチャレンジをしていただきたいですね。

パイクスピーク、今回新たなクラスが創設される

スーパークロスやフリースタイルモトクロスで活躍し、現在はスバルのラリー・ドライバーとしておなじみのアメリカ人ドライバー、トラビス・パストラーナ選手。
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彼も、このパイクスピーク・インターナショナル・ヒルクライムへの参戦経験のある選手です。これまでの参戦は2004年、2005年にスバルのラリーカーで走っています。当時はまだダート路面が残っており、ラリーカーには、コ・ドライバーの乗車が認められており(コ・ドライバーの乗車が可能だったのは2011年まで)、コースを覚える必要はなかった、と笑いながら話してくれました。

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今回は、ポルシェ・ケイマンGT4クラブスポーツを使用した新しいクラス「Porsche Cayman GT4 Clubsport by Yokohama」が立ち上がり、8台がこのクラスに参戦。ここにパストラーナ選手(199号車)も参戦です。ほかには、インディカードライバーのJRヒルデブランド(66号車)やNASCARトラックシリーズや様々なカテゴリーに参戦し、WECの富士戦で日本にやってきたこともあるマイク・スキーン選手(21号車)などもこのクラスに参戦しました。
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「まず、また戻ってこれてうれしい。残念ながらダートはなくなっていたけれど、ね。今日の走りは、もっと行けるところはあったが、マシンに問題はなかったし、きちんと結果を残せてハッピーだよ」とパストラーナ選手は語ってくれました。

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ちなみに、この新設のクラス。そのタイトルにあるように同じワンメイク車両で、タイヤも横浜ゴムが提供したワンメイクとなります。初代クラス優勝(総合25位)は、トラビス・パストラーナ選手、10分33秒897でした。

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