東京モーターショーに出展している曙ブレーキ工業ですが、今回の東京モーターショーに「MR流体(Magneto Rheological Fluid)ブレーキ」を出展していました。
これは、既存の摩擦ブレーキとは大きく異なる構造のもので、展示されていた試作品も、ブレーキというよりはモーターのケースのようにも見えます。
MR流体とは、磁気に反応して特性が液体から半固体へと変化する流体のことで、すでに1960年代から研究されてきているもののようです。磁場を加えることで、液体の中に入っている強磁性体粒子(鉄粉)が磁界方向に整列して半固体化するというもの。
この固体化した鎖状粒子クラスターがせん断変形を受け崩壊されることで発生する抵抗力が、そのまま制動力になるということで、ブレーキ自体はこのケース内で完結しており、摩耗粉やノイズを出さない上に、ブレーキフルードも不要なため、環境にも配慮しているという。
さらに、制動力は、磁界を発生させるために電磁石のコイルに流す電流に対し数ms(ミリセカンド=1000分の1秒)で反応し、電子制御装置で電圧(起磁力)を直接コントロールできるため、細かな制御ができる、としています。またインホイールモーターなどとの組み合わせに対してもケース内での磁界の制御に留まるとして有効のようです。
まだ、通常時の引きずり等の課題が残っているようですが、2020年の実用化を目指しているということです。