オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2017年10月


東京モーターショーに出展している曙ブレーキ工業ですが、今回の東京モーターショーに「MR流体(Magneto Rheological Fluid)ブレーキ」を出展していました。

akebono01
これは、既存の摩擦ブレーキとは大きく異なる構造のもので、展示されていた試作品も、ブレーキというよりはモーターのケースのようにも見えます。

akebono03
MR流体とは、磁気に反応して特性が液体から半固体へと変化する流体のことで、すでに1960年代から研究されてきているもののようです。磁場を加えることで、液体の中に入っている強磁性体粒子(鉄粉)が磁界方向に整列して半固体化するというもの。

この固体化した鎖状粒子クラスターがせん断変形を受け崩壊されることで発生する抵抗力が、そのまま制動力になるということで、ブレーキ自体はこのケース内で完結しており、摩耗粉やノイズを出さない上に、ブレーキフルードも不要なため、環境にも配慮しているという。

akebono02
さらに、制動力は、磁界を発生させるために電磁石のコイルに流す電流に対し数ms(ミリセカンド=1000分の1秒)で反応し、電子制御装置で電圧(起磁力)を直接コントロールできるため、細かな制御ができる、としています。またインホイールモーターなどとの組み合わせに対してもケース内での磁界の制御に留まるとして有効のようです。

まだ、通常時の引きずり等の課題が残っているようですが、2020年の実用化を目指しているということです。


このコーナーでも何度か紹介しているとおり、ケーブル自動巻取り式充電スタンドを開発しているモリテックスチールが東京モーターショーに初出展していました。コードリールを内蔵したこの巻取り式スタンドは、ケーブルが絡まないし、手も汚さずに簡単に収納できるモデルで、無課金・コイン課金・認証課金の3タイプの普通充電器をラインナップしています。

MOLITEC07
今回、西ホールに出展となったこのモリテックのブースでは、見慣れない、散水用のホースリールのような(失礼)充電ケーブル収納が参考出品されていました。それもなんと2種類。

MOLITEC01
MOLITEC04
もちろん、電線を巻き取る技術の老舗メーカーですから、この2台とも、コードリールを内蔵しています。この2種類というのは、巻取りの操作別に手押しタイプと足踏みタイプの2種類を出品しているわけです。とかく汚れやすい充電ケーブルですから、手を汚さずに、絡ませることなくすっきり収納できるっていいですよね。

MOLITEC06
他には、従来からあるケーブル自動巻取り式充電スタンドに倍速モデルを参考出品していました。こちらは、従来型(200V/3Kw仕様)よりも充電時間を短くすることができる倍速仕様(200V/5Kw仕様)で、ケーブル類も従来モデルより若干太くなっており、ケースの奥行き(374mmから394mm)も長くなっています。さらに自宅の玄関に設置するポール型も参考出品されてました。こちらは外側(道路側)に表札やインターホン、さらにはポストの機能を付け、裏側(敷地内側)に普通充電器と屋外用の100Vコンセントを備えるというものでした。なかなかのアイデア商品ですね。

10月7-8日、タイのブリラムにあるチャン・インターナショナル・サーキットでSUPER GTの第7戦が開催されました。このタイでのSUPER GT開催は今回で4回目となります。が、私がタイでこのGTレースを見るのは今回が初めて。このブリラムのサーキット自体は、バイクのレースで何度も訪れているだけに、GTレースでどのようなことになるのか、という点はちょっといろいろ気になってました。が、やはりレースの規模が大きいこともあって、さすがだなぁと思うことがいくつかありました。
VIOS_Thai001
ま、そんな大きなレースですが、前座レースがいろいろと組まれていました。ホンダのワンメイクレース(と言いながら、出走車両は多岐に及んでいましたが)と、トヨタのワンメイクレースの3シリーズです。

トヨタのシリーズ戦は、ハイラックスREVO、カローラ アルティス、そして以前ここで紹介しているトヨタの東南アジア地域で展開している小型4ドア・セダン、VIOS(ヴィオス)を使用したVIOSカップの3つ、です。VIOSカップは先月フィリピンでも取材しているので、なんとなくなじみのあるレースです。
VIOS_Thai003
このタイではフェイスリフトがすでに行われているので、以前に紹介したフィリピンのモデルとは少し外観が異なります。
VIOS_Thai002
タイのVIOSカップ、2017年シーズンは全5戦が行われます。今回のSUPER GT併催のレースはシリーズ第4戦となります。開催クラスは、VIOS ONE MAKE RACE LADY CUP、VIOS ONE MAKE RACE(ディヴィジョン1、ディビジョン2)となります。
VIOS_Thai004
ここでは、arto osaka Racing Teamというチームが日本人選手を出場させており、エントリーリストを見ると、そこには数多くの日本人の名前も見られます。もちろん、このVIOSシリーズにも参戦しており、なんとVIOS LADY CVTクラスで優勝したのはゼッケン124をつけたいとうりな選手。3位には味元美智恵選手も入るという好成績でした。
VIOS_Thai005
SUPER GTには多くの日本人メディアが取材に来ていたのですが、なぜか、このVIOSやアルティスを取材する人は稀のようでしたね。なんででしょう?

9月30日(土)、10月1日(日)の2日間に渡り開催となったFIA インターコンチネンタルドリフティングカップ(東京お台場特設会場)。2日目となる10月1日も前日同様好天に恵まれ、レグ2が行われた。

ドリフト競技といえば、現在、世界40か国以上で開催されているが、この盛り上がりに対し、世界の選手権大会を認可しているFIA(国際自動車連盟)も動き出し、今回、FIAのもと、F1、WRC、WEC、WTCCと同様に行なわれる、FIA公認の史上初のドリフトイベントとなる。このドリフト競技発祥の地・日本での史上初のイベントには、14の国と地域から集結した24名がエントリーし、この2日目も23名が参戦となった。

基本的に、競技内容及び進行はレグ1と同じ。単走での競技があり、その単走での上位16名によるトーナメント方式の追走が行なわれる。追走は前後を入れ替えて2本を走行、その得点を競い、勝ち上がっていくというもの。
IDC001
このイベントは両日ともに好天に恵まれたが、この日は前日より若干気温は上昇し、路面温度も上がった。しかし決勝へと進むにつれて上空には雲が増えていき少し風も出るという、これまた前日同様の展開となった。
IDC002_Tsuchiya
開会式では、前日同様オペラ歌手の小川里美さんによる国歌斉唱があり、この大会の名誉顧問に就任しているドリキンこと土屋圭市さんの開会宣言でイベントはスタート。

この日の単走セッションは、前日のレグ1の順位で、順位の低かった選手から走行スタート。それゆえセッションが進むにつれて、この週末好調な面々が高得点をかぶせていく展開となった。
IDC008_Arkady
1本目に99点台を出したのが、前日3位のアルカディ・サレグラセブ選手(アルカーシャ/#20 PRIMRING TEAM WITH TOYO TIRES/日産スカイラインR34)の99.21点。前日単走の勝者、100点超えの走りを見せた齋藤太吾選手(No.10 WANLI Fat Five Racing/日産GT-R)は98.68点にこれに届かず。そしてレグ1追走優勝の川畑真人選手(#13 TOYO TIRES GLION TRUST RACING/日産GT-R)は一本目から速くて見事な単走を見せ、得点は99.70点。しかしラインカットで2点の減点となり、この時点での暫定順位は8番手どまり。
IDC005_Saito

IDC004_Kawabata
続く2本目では、横井昌志選手(#12 D-MAX/日産シルビアS15)が、しっかりと角度をつけたドリフトで1本目トップのアルカーシャ選手のポイントを上まわる98.34点を獲得しトップ浮上。
IDC003_Yokoi
IDC006_Fujino
その後この点数を上回る選手は出てこず、横井選手が単走優勝を果たす。「練習から調子はよかっただけに、やっと点数出てよかった」とコメント。川畑選手は4位、齋藤選手は5位。そして、現在D1ではポイントリーダーでありながら、この週末はどうも波に乗り切れていない藤野秀之選手(#11 Team WISTERIA TOYO TIRES/日産180SX)が7位で単走セッションを終えた。

2日間の結果で総合の勝者が決まる今回のイベント。総合優勝を狙う川畑・齋藤選手にとって、追走結果がレグ1とひっくり返ってもし同点になった場合、この単走の結果が重要となる。なんとしても齋藤の上を行かねばならない川畑は、その後の走りでなんとか上を目指し齋藤の前でフィニッシュできたことで、とりあえずひと安心といったところだ。
IDC009_KawabataSaito
追走トーナメントでは、ベスト8を決める1回戦は順当に単走上位選手が勝ち上がり、続く2回戦目で、前日の決勝のカード(川畑vs齋藤)が登場した。同じR35 GT-Rというパッケージながら、トラストvsHKSであり、トーヨータイヤvsワンリというこの対決。川畑選手が先行での1本目は、川畑選手がよいスタートを決めて、齋藤選手は一瞬離され、それを挽回するもリズムを崩してしまって勝負にならず、という展開で、まずは川畑選手がリード。先行・後追いを入れ替えての2本目は、齋藤選手のマシンに駆動系トラブルが発生し、あっけなく川畑選手の進出が決定した。

レグ1で3、4位であったアルカーシャ選手とジョージ・チヴシャン選手(ゴーチャ/#19 PRIMRING TEAM WITH TOYO TIRES/日産シルビアS15)も勝ち上がり、結局、前日と齋藤選手と横井選手が入れ替わっただけの顔ぶれでのベスト4進出となった。

IDC010_YokoiKawabata
IDC011_ArkadyGeorgy
セミファイナルは日本人同士とロシア人同士の対決。まず、横井選手と川畑選手の対戦では川畑選手がしっかり詰め切って、川畑選手の後追いで2ポイントリードで勝敗が決まった。また、ロシア人同士の対決では、これぞ「ザ・追走」という感じのきれいで見事な追走を見せてくれた。2本走行の1回では勝負はつかず、ゴーチャ選手がウォールに当たりながらもまったく動じないような走りを見せた激しい追走を制したのはアルカーシャ選手。「1位しか考えてない」とは、アルカーシャ選手のコメント。
IDC012_KawabataArkady
そして迎えた決勝。アルカーシャ選手は18から19インチにタイヤを変更して臨んだ最後の追走。川畑選手が先行の一本目で、アルカーシャ選手がセクター2でこそ少し離されはしたものの、コーナー飛び込みで寄せて、アルカーシャ選手が0.5ポイントリード。続く2本目は後追いの川畑選手が攻め立てたものの接触で大きく減点。この判定でアルカーシャ選手がレグ2追走優勝となった。
IDC013_Leg2Podium
2日間の競技が終わり、川畑選手がこのFIAインターコンチネンタルドリフティングカップの初代チャンピオンに輝いた。そして、単走総合チャンピオンは齋藤選手となった。
IDC000
川畑選手は「2日間、精一杯走りました。応援してくれた皆さんありがとうございました。このFIA のドリフトの国際大会が開催されると決まったときから優勝したいとずっと思っていました。それが実現できて、この環境を作ってもらえたことに感謝していますし、すごく満足しています」とコメントした。

世界のモータースポーツ管理機関として、F1はもちろん、WRC、WEC、WTCCといった世界選手権大会を認可しているFIA(国際自動車連盟)による史上初のドリフトイベントとなる「FIAインターコンチネンタル・ドリフティング・カップ」が9月30日、10月1日の2日間にわたって、東京お台場に特設コースを設けて開催となる。
IDC01
ドリフト競技といえば、現在、世界40か国以上で開催されているのだが、いちおう世界一決定戦と名付けられて開催となったこのイベント。その初日となる9月30日には、14の国と地域から集結した24名がエントリーし、前日の練習走行、そしてこの日も開場前に設けられた走行セッションから本気モード。
IDC02_Ogawa
ドリキンこと土屋圭市さんがこの大会の名誉顧問に就任しており、開会式ではオペラ歌手の小川里美さんによる国歌斉唱に続き、土屋さんの開会宣言でこのイベントはスタートした。
IDC03_Tsuchiya
今回は、このFIA公認ドリフト競技のドリフト競技発祥の地となる日本での開催に、ジャン・トッドFIA会長も駆け付け、表彰式ではプレゼンターを務めるなど、より一層華々しいイベントとなった。
IDC04_Fujino1
午前11時15分からスタートした単走セッションでは、やはり日本のトップドライバーたちが高得点を叩き出す。まずドリフトマッスルの覇者であり、現在D1ではポイントリーダーである藤野秀之選手(#11 Team WISTERIA TOYO TIRES/日産180SX)が98.31点を出すと、D1GPで2007年、2013年、2015年のチャンプである川畑真人選手(#13 TOYO TIRES GLION TRUST RACING/日産GT-R)がこれを大きく上まわる99.58点で1本目のトップへ。
IDC05_Kawabata

齋藤太吾選手(No.10 WANLI Fat Five Racing/日産GT-R)は川畑選手にわずかに届かず99.50点。Bグループに組み込まれた横井昌志選手(#12 D-MAX/日産シルビアS15)は98.60点。
IDC07_Yokoi
そして続く単走2本目。藤野選手、川畑選手、横井選手ともに1本目を上回ることができず。だが、大きく気を吐く齋藤選手がこれを塗り替える100.42点という100点越えで単走優勝を決めた。
IDC06_Saito
この単走を終えて、午後2時30分からは、単走上位16台による追走のトーナメント戦となった。このベスト16の1回戦では、藤野選手がデチャポン・トイングチャレンャ選手(#23 Team TOYO TYRE DRIFT DOLUCK)との追走で、追い上げられて1.5ポイント先行されたが、後追いで藤野選手も激しく圧巻の走りを披露! ポン選手のミスもあって、藤野選手は辛くもベスト8へ進出。ほかの日本人選手も順当に勝ち上がって、4名がそのままベスト8へ進出。
IDC09_FujinoKawabata1
続く第2回戦では、藤野選手が勝ち上がった先の相手は川畑選手と、まさかのトーヨータイヤの同門対決。藤野選手の後追いでの一本目で、藤野選手のマシンにトラブルが発生して減速。2本目は無事に走り切ったものの勝者は川畑選手。また、横井選手は、ジョージ・チヴシャン選手(#19 PRIMRING TEAM WITH TOYO TIRES/日産シルビアS15)との対決のにて、2本目でスピンを喫しここでまさかの敗退。
IDC10_GeorgySaito
そこで、ベスト4に進んだのは齋藤vsジョージ・チヴシャン(ゴーチャ)選手、川畑vsアルカディ・サレグラセブ選手(アルカーシャ/#20 PRIMRING TEAM WITH TOYO TIRES/日産スカイラインR34)の日露対決となったが、ここで勝ち進んだのは日本人の2名。結局、日本人対決、R35GT-R同士で決勝戦となった。
IDC12_ArkadyGeorgy1
一方の3位決定戦はロシア対決となった。この2015年ロシア・ドリフト・シリーズ・チャンピオンのゴーチャ選手と、2013年、2014年、2016年のロシア・ドリフト・シリーズ・チャンピオンであるアルカーシャ選手の3位決定戦も見どころのある超接近戦となった。ここで競り勝って3位表彰台を獲得したのはアルカーシャ選手。
IDC13_SaitoKawabata1
そして世界一決定戦レグ1チャンピオンを決める決勝追走は、この日一番の追走となった。まず、一本目は、後追いの川畑選手が最初の振り返しで齋藤選手のリヤと接触があって、ここはイーブン。続く2本目はお互いに良い走りを見せたものの、これもイーブン。そして仕切り直しの川畑選手後追いでは、7.0:9.0で川畑選手が2ポイントリード。続く齋藤選手後追いで再び接触があったものの、9.5:8.5で齋藤選手がこれを取ったが、0.5ポイント差で川畑選手がFIAのドリフト世界一決定戦の初代優勝者に輝いた。
IDC14_Podium
2位表彰台の齋藤太吾選手は「世界一を取りたかったけれど、この2位で満足してる。明日はトップを狙います」とコメント。川畑選手は「いい走りを見せることができて良かったです。明日は単走でもトップを取ってパーフェクトウィンを狙います」とコメントした。

このページのトップヘ