オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2017年09月

先日のフランクフルトショー。なんだか「EVシフト鮮明に」みたいなニュースがあって、ちょっとびっくりしています。

そんなにEVばかり出たのか? 大きなショーですから「もしかしたら、自分たちが気が付かないうちに発表が大々的になされていたのかしら?」と思い返してみましたがそんなことはなく、前回新しく登場し今回2回目の開催となったニューモビリティワールドのブースも、ニッチな世界でしかなく、各社のコンセプトカーはEVではあるものの、それはこれまでとあまり変わらないのでは? という印象でしかありません。

ま、もちろんニュースもあるわけで、アウディのAicon(自動運転レベル5の車両)がお披露目されました。そりゃそっち(レベル5)の方が楽でしょうね、と思っていたら「レベル3、4をすっ飛ばしてレベル5なんてすごい」みたいな報道もされたようで、そちらもびっくり。自動運転なんて、人が介在するより、最初から人ナシで操作したほうが、無駄なやり取りを考えなくてもいいし、簡単なのでは? と思うのですが、どうなんでしょ?

そんな中で、レベル4あたりになると、車内はどうなるのか、ということに興味をもって、ブースを回ってみると、ちょっと見えてきたものがあります。
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フォルクスワーゲンのコンセプトカーI.D.シリーズのインパネの写真を並べてみましょう。ステアリングがすべて同じコンセプトで統一されていることに気が付きますね。シフトスイッチも内蔵するため操作系統はほぼステアリングの内部に収まることとなります。つまりステアリング以外の部分は最大限居住のためのデザインが施されることになります。
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以前リンスピードが出したコンセプトカー、エトス(2016年のCESでお披露目)では、棚のような左右対称のイメージのインパネとなっていましたが、今後インパネ周りがどうなっていくのか、も期待したいですね。
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 トヨタが東南アジア地域で展開している小型4ドア・セダン、VIOS(ヴィオス)。タイや中国での生産に続き、フィリピンでの国内生産も始まっている、フィリピン国内ではタクシーにも大量に採用されていて、身近な車両でもある。フィリピン・トヨタで販売される4ドアセダン、カムリ、カローラ・アルティスに続く、末弟的存在のクルマだ。
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 その車両サイズは、全長4410×全幅1700×全高1475(mm)。ホイールベースは2550mmとカローラアクシオに近いサイズ。搭載エンジンは2種類。最高出力106馬力/6000rpm、最大トルク140N・m/4200rpmを発生する1.5リッター直4デュアルVVT-iエンジン。そして1.3リッター直4デュアルVVT-iエンジン(98馬力/123N・m)となる。これに5速MTもしくは7速CVT(1.5Lモデルのみ)を組合せる。
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 今回ここで紹介するヴィオス・カップは、この1.5リッターエンジンを搭載したモデルでのワンメイクレース。シーズン全4戦で争われる。4シーズン目を迎える今シーズンのエントリーは50台近くとなっている。
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 車両は同一だが、クラスは4つにわかれており、3レースで行われる。詳しくは、プロモーショナルクラス(芸能人など著名人が参戦・写真上)とセレブリティクラスの混走(今回は23台)、スポーティングクラス(今回は16台)と、スーパースポーティング(今回は12台)である。
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 過去にはマニラの市街地でのレース開催もあったが、今シーズンはすべて、マニラから100kmほどのところにあるクラーク・インターナショナル・スピードウェイ(全長4.189km)で開催となる。レースは1イベント2レース。敬虔なクリスチャンが多いフィリピンという土地柄からか、金曜に予選、そして土曜に2レースというスケジュールが多い。このレースは、同コースを12周で争われる。
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 レース自体は、駆け引きなしの非常にアグレッシブな展開。さすがに予選セッションから全損クラッシュという事例は最近では見られなくなったようだが、1日でレースを2回行うのに、レース1から後先考えないような激しいレース展開。
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 接触も非常に多いのだが、さらにオレンジボール・フラッグもよっぽどのことがなければ出されることがないようで、ドアミラーやバンパーを引きずっても果敢に攻めるシーンが何度も見られる。
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 このヴィオス・カップには、ドリキンこと土屋圭市さんが毎年ゲストとして招待されている。今回も、9月16日に開催となった第3戦にゲストとして呼ばれ、走行の合間にドリフトデモンストレーションの同乗走行を行った。ドリフト用に持ちこまれたのはトヨタ86なのだが、諸事情により、このカップカーのヴィオスに搭乗。
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 「アジアの人たちはしっかりレースを楽しんでいるよね。もう、ここ5年ほど(フィリピンへ)通っているけれど、毎年イベントはより盛況になっていて、フィリピン国内では、一番熱いモータースポーツとなっているよ」と土屋さん。
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 このクレバーではないかもしれないけれど、観ていて非常に楽しいヴィオス・カップ。今シーズンの最終戦は11月にこの同じクラーク・インターナショナル・スピードウェイで開催となる。

 人材派遣・紹介・受託開発を行なっている日本の企業アスパークが、フランクフルトショー(フランクフルト・モーターショー、略称:IAA)に出展している。そのブースの舞台に並んでいたのはアウル(OWL=フクロウの意味だが音もなく舞い降りるその姿を重ね合わせ、命名された)と名付けられた1台のマシン。現地時間9月12日に開催となったプレスカンファレンスでは、アスパークの吉田眞教代表取締役が登壇し、日本語でこの車両の解説を行なった。
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 どうせクルマをつくるなら世界一のクルマを作ろう。いろいろな世界一があるが、たとえば時速500kmのクルマを作ったとしても最高速度というのはわかりにくい。だったらもっとわかりやすい世界一の加速力をもつクルマをつくろうということでこの車両のコンセプトは固まった。
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 圧倒的な世界最高加速、具体的には0-100km/h加速が2秒を切ることを目標に作られたクルマだという。そのため、車両は全高990mm、最低地上高90mmと非常に低く構えたプロポーションとなっており、ボディはカーボンを使用し、車両重量はわずか850kgとなっている。
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 その車両サイズは全長4830×全幅1935mm。モーターは2基搭載。駆動電力はキャパシタを使用。駆動は4輪を使用するが、あまり細かな制御はなく4輪に均等にトルク配分をするのみ。非常にソリッドで、やんちゃな仕様といえる。
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「自動車メーカーでも部品メーカーでもなく、なぜ?」と思うのだが、医療向けロボットの開発・制作や大学の研究の社内請負など、様々な自社開発に取り組んできており、そういったノウハウや培ってきた技術力を活かす場をということでこのプロジェクトがスタートしたようだ。
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 今回ここでお披露目されたのはそのプロトタイプ。現在栃木県某所でその開発を行なっているという。現時点で、ボディのデザインの大きな変更はほぼ無いとしている。ただ、現在のキャパシタ搭載に、さらに航続距離を延ばすため(一充電で100から150km想定)リチウムイオンバッテリーを追加搭載することになるだろうとのことだ。また、現在はまだ給電口なども用意されていない。こちらは販売地域に合わせた整備をするとして、まだ取り付けられてはいない。市販化に向けてまだまだやること沢山ある、と開発者は語る。
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 ちなみに、今回のフランクフルトショーでの発表に関して、東京ショーで発表も考えたが、想定ユーザーを考えれば東京でなくてもよいのでは、ということとなり、今回、このフランクフルトの会場で、発表したとのこと。発売は2年後、価格は350万ユーロ(日本円でざっくり4億円)を予定しているという。ブース内の別室では、その世界観を3D映像で伝えるという演出も行なわれていた。

2017シーズンも残り2戦となるドリフトマッスル第4戦は、日本海間瀬サーキットに舞台を移しての一戦。まだまだ夏の暑さが残る9月9日(土)~10日(日)の2日間の日程で開催された。今回も、エントリー台数はマッスルクラスで30台(1台欠場のため29台が出走)、スーパーマッスルクラスで31台(こちらも2台が欠場となった)と、これまた参加台数の多い一戦となった。
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ドリフトマッスルドリフトマッスルは、土曜にマッスルクラス予選および決勝追走トーナメント、日曜日はスーパーマッスルクラス予選および決勝追走トーナメントがスケジュールに組まれている。サーキット周辺の水田では稲穂が大きく垂れさがり、収穫も間近といった状況だったが、この週末は両日ともに好天。サーキットをぐるりと取り囲む山々からは蝉しぐれが降り注ぎ、まるで真夏といった厳しい暑さのなかで、想定以上に路面温度・気温とも上昇するという状況であった。
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ドリフトマッスル日本海間瀬サーキットは、山間に設けられた全長2000mで14個のコーナーを持つ、高低差28.9mのコース。このドリフトマッスルではバックストレッチから最終コーナー脱出までの区間を使用して審査を行なう。各クラスによって審査のレベルは異なるが、スーパーマッスルクラスでは、第2ヘアピンのクリップについた時点できちんとフロントマスクが最終コーナー側に向いている(ドリフトの態勢になっている)こと、最終コーナーではクリップから離れないこと、そして何よりも魅せるドリフトであることといった注意事項がブリーフィングで伝えられる。
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ドリフトマッスル9日(土)に開催となったマッスルクラスでは、野島卓弥選手(#31 B-style サバビア/S13)が、予選14位からのまさかの大逆転で優勝を飾っている。マッスルクラス2位には、斎藤久史選手(#51 mature with 宮精機/RPS13)、そして3位に米内寿斗選手(#83 ガレージTSR 180SX/RPS13)が3位に入った。表彰台に並んだのは、前戦菅生と同じ顔触れであった。

そして迎えた10日(日)。スーパーマッスルクラスの走行となる。タイヤに厳しい間瀬では3セットという使用制限がボディブローのように効いてくる。予選通過、そして決勝での戦い方を考え、午前中の2回の練習走行をどう使うか? そもそも、追走トーナメントに進出できるのは16台のみ。半数近くが決勝追走へ進出できないということで、予選も大事、しかし、決勝にタイヤを残しておきたいと、タイヤのマネジメントに苦慮することになる。

ドリフトマッスル予選単走では、AとB、2グループに分けられての走行となる。Aグループは主にスポット参戦組、そしてBグループはレギュラーエントリー組となるのだが、そのAグループから、進入速度105km/h以上のドライバーが続出し、もちろんドリフトアングルも薄いと言わせない走りを披露。
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とりわけ最上弦毅選手(#813 日比野塾 ZESTINO Proμ 180SX/RPS13)の走りには、土屋審査員長も「110km/hにのるとは思わなかった」とコメント。Aグループがまさかの高得点を出す展開は、もちろんBグループのケツに火を着けることに。予選ではベスト16に残ればいいのだが、ここで箕輪慎治選手(#23 HEY!MAN ツアラー/JZX100)が進入速度112km/hを出して意地を見せる。

決勝追走トーナメントでは、トップランカーたちが順当に競り勝っていく。もちろんD1ドライバーでもある箕輪選手も温存してきたタイヤを使い、ここで一気に仕掛けていく。
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ドリフトマッスル中でも圧巻だったのが、決勝戦。前戦優勝の大金良隆選手(#7 MAD FACE FD3S/FD3S)と箕輪選手の追走。「すごい! ヘアピン立ち上がりで横にいて。そのあと引いているのに離れない。大金は、あれでは何もできない」と土屋圭市審査員長も興奮のすごい追走を魅せてくれた。
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結果、優勝は箕輪選手、2位に大金選手、そして3位にはランキングトップの前田 翼選手(#74 ZESTINO オディエイティー/RPS13)となった。前田選手のランキングの座は揺るがなかったものの、開幕戦に引き続いて、今季2勝目を挙げた箕輪慎治選手がランキング3位から2位へ浮上(-13ポイント)。そして前回優勝し、今回も2位と大健闘の大金良隆選手も4位から3位へとポジションアップ(-23ポイント)。逆にランキング2位につけていた平岡英郎選手が4位へとポジションを下げることとなった。

さぁ、2011年にスタートした「ドリフトマッスル」も今季限りで、残るは最終戦となる日光ラウンドを残すのみとなった。最後のドリフトマッスル王者は誰になるのか? ドリフトマッスル第5戦は10月28日(土)、29日(日)に日光サーキット(栃木)での開催となる。

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