オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2013年06月

4時半にホテルをスタートしたメディアバスは、遅れに遅れて、なんと頂上への到着は、6時半過ぎ。渋滞の中、丸々2時間の移動でした。頂上に上がったメディア陣は、早速パソコンを広げ、取材の準備に入ります。
be2b6667.jpg
でも、観客はもう、すでに山のあちこちに陣取っています。様子を見る限り去年よりも多くのレースファンが詰めかけているようです。
01b509e5.jpg
さて、天候は、微妙です。メディアバスがスタートしたホテル周辺では月も星も見えましたが、山を登るにつれて、雲が出始め、今、山頂は曇り時々薄日が差すといった感じです。
50c0e065.jpg
日本人メディアは売店のテーブルを取って、名物のドーナツを食べつつ、スタートを待ちます。(XaCARレポーター・青山義明)

アメリカ・コロラド州で開催されるパイクスピークインターナショナルヒルクライム2013も決勝当日を迎えました。残念ながら午後2時以降に雨という予報です。
1c5fffac.jpg
決勝前日のセットアップデーには、多くのチームが事前にマシンをスタート地点にまでもってきて、ピットの設営を行なっています。ピットと言っても必要最低限の機材を置いて帰るだけ、というチームが大半です。
78bbba3b.jpg
コースサイドは有料なので、メーカーのワークスチームが陣取ります。ですので、多くのプライベートチームは林間サイトです。紙皿に番号が振ってあるものが、林の中にあり、それを頼りに、ピットを作ります。はた目にはオートキャンプのサイトのようにも見えますね。
7ad7a987.jpg
すでに雨の予報もあり、多くのチームが雨対策をし車両にカバーをかけて帰ります。中には、サイオン・レーシングの相澤選手のように、サイオンtCのフロントボンネットに念入りに雨対策だけして、カバーもかけずに帰ってしまうチームもありますが(笑)
f8206501.jpg
土曜日の天気は雨は降ったりやんだりでしたが、夕方、ピットからはパイクスの頂上付近がよく見えました(非常に寒かったですが…)。レース終了までこのまま天気が持ってくれるといいですねぇ。
5e87971f.jpg
決勝当日、頂上には取材者の車両などを留め置くスペースがありません。ですので、朝4時には大会事務局のホテルからメディア向けのシャトルバスが出ます。
79aae225.jpg
このバスのチケット、今回も無事XaCARに発給されました。ということで、今年もゴール地点から速報をお届けいたします。(XaCARレポーター・青山義明)

毎日お届けしているパイクスピークインターナショナルヒルクライムのリレーコラムですが、今回は取材の現場についてご紹介しましょう。
4e12de4f.jpg
現在全面舗装されているパイクスピークですが、もともとは花こう岩の岩山にできた「ただの山道」です。ところどころガードレールのあるところもありますが、そのほとんどはガードレールはなく、それどころか、そのまま急斜面、という箇所も少なくありません。

また、舗装はされていますが、路肩部分がまともにありません。舗装道路からわずか1m弱でそのまま斜面になっているところも多いのです。
135f4f35.jpg
撮影は主にガードレールの裏から撮るパターンですが、常に同じ場所での撮影というわけにもいきません。走行の合間を見て、取材者は一斉に移動します。しかし、移動もコースの脇を行くのが一番楽だったりします。なんといっても急斜面じゃないですからね。しかし、タイミングを見誤ると、また、マシンが上ってきます。そうするとコース脇に避難するわけですが、斜面ですから大変です。

コース脇に木が生えているところなら、その根元に足をかけてコースから離れればいいですが、走行セクションで言うところのミドルセクションにあるコーブクリークより上はティンバーライン(森林限界)で樹も生えません。下手をすると、ガラガラと崩れ落ちていく小石だけの斜面になります。
4001d43b.jpg
コース脇で落した機材を拾い上げて、再びコースサイドに戻ろうと見上げたのがこの写真です。空しか見えません(笑)

撮影をするのに足場が確保されないのは、非常に厳しいです。踏ん張っているのですが、無理して立っているため、靴のソール部分と本体部分が剥がれてしまうのです。昨年靴を壊してしまったのですが、実は今年も靴が壊れました。決勝に向けていい登山靴を買ってこようと思っています。(XaCARレポーター・青山義明)

d9264082.jpg
グレッグ・ブラション選手がパイクスピークオープン・クラスに持ち込んだのが、1996年式の初代スバル・インプレッサ。写真で見ると22Bのように見えますが、実は22Bレプリカです。このマシンは100日ほどかけ、ワイドフェンダー化も含めペイント以外のすべてを自分の手で行なったという手造りのマシンです。
dc22622b.jpg
グレッグ選手は、アメリカでスバルのボクサー・ディーゼルの販売権を持っている「BOXEER(ボクシァー)」という会社をやっています。そのため、このマシンに搭載しているのもボクサー・ディーゼル・エンジンです。今回のこのレースの参戦は、彼の会社のプロモーションも兼ねて、ということです。
5fa864d5.jpg
ボクサー・ディーゼルをどこに売っているの? と疑問に思ったのですが、軍用(ハイブリッドのジェネレーター用)、エアクラフト、ボートなどが納入先だということです。また、こういったディーゼルエンジンの使用は、欧州ではポピュラーのようですね。しかし、今回搭載したエンジンは、ヨーロッパではなく、群馬県太田市から直接輸入したターボディーゼル・エンジンだということです。
10db246c.jpg
これに組み合わせるECUはボッシュ製。これが「7000ドルもした!」と憤慨しているようです。使用する燃料は、ジェット燃料JP8(軍用のディーゼル燃料)を使用して走るということです。
39ade0f6.jpg
さて、彼の目標ですが、実はディーゼルエンジン車は、トラクター(トレーラーヘッド)しか出ていません。それで彼はこのインプレッサで「パイクス最速のディーゼルを狙う」と言っています。(XaCARレポーター・青山義明)

パイクスピークインターナショナルヒルクライム2013に参戦する車両。ここで常に追いかけているEV&日本人チーム以外にも、さまざまな車両が出場しています。ここでは、取材スタッフが気になったクルマをしっかり見てみることにします。
14d8983a.jpg
まずはエレクトリック・クラスに参戦した「2013 eO(イーオー)PP01」です。レンジエクステンダー付EVで2012年のパリダカにも参戦したことのあるラトビア共和国にあるDRIVEeOのマシンです。DRIVEeOとしては、初のオンロードタイプのレースマシンとなります。軽量であるEVで効率よく走ることがその目標にあるとしており、パイクスピークを参戦の舞台にしたのも、EVの性能をいかんなく発揮でき、EVの効率の良さと環境性能をアピールするには絶好の機会であるという判断で参戦したようです。
1dd8baf6.jpg
チームのエンジニアであるクリスタップス・ダンビスさんが車両について解説してくれました。イギリスYASA社製モーター(100kW)を4基搭載。インホイールではなくオンボードタイプで各車輪に駆動を伝えます。ただ、その際、減速ギヤを介していません。それは、このパイクスピークがスタンディングスタートではないので、助走区間を利用すれば、モーター軸出力をそのまま出せるほうが効率がよいという判断だそうです。搭載するバッテリーは中国製で容量は50kWh。これをコクピット左右に搭載しています。低重心化しており、重心高はホイールセンターより低い、ということです。バッテリーマネージメントは米エリシオン社のものを使用しています。
5f6979bb.jpg
DRIVEeOは、4基のモーターをマネージメントするシステム、そしてDRIVEeOオリジナルの鋼管フレームを製作しています。ボディカウルもオリジナルで作りたかったようですが、時間がなく、デンマークのアクイラ社製ボディを使用しています。ですので、ドライバーシート後ろのカウル(本来はエンジンカバー部分)内はほぼ空っぽで、18インチタイヤ用のフェンダー内には17インチタイヤが装着されています。ボディ重量は1050㎏。重量配分はほぼ50:50です。
06d0a63a.jpg
ドライバーはヤニス・ホレリクス(Jānis Horeliks)選手。現在39歳。レーシングカートからスタートし、ツーリングカーをメインに活躍するラトビアのドライバーです。ラトビア(1999年および2004年)やエストニア(2006年)、バルト(1999年)でのツーリングカー選手権チャンピオンで、フィンランドやロシアのツーリングカー選手権への参戦もしています。普段レースで使用しているのは欧州シビックということです。
0dbcb873.jpg
ヤニスさんにとっては、初めてのEVレーサーで、普段のFF車とは違う4WD車であるし、いろいろと違う部分が多いが、レスポンスがよく非常にアグレッシブなクルマ。(パイクスピークを)シビックで走るよりもこのクルマのほうが向いていると評価。ただ、パイクスピークでの走行経験がなく、決勝に向けて「集中して走らなければ」と緊張もしている様子。
9ffc06e7.jpg
車両にはスポンサーロゴが入っていますが、残念ながらどれも見たことがないものばかり!? いちおう左からこのマシンのボディカウルメーカーのアクイラ、安全装備のMMLスポーツ(元三菱系のラリー関連系のアイテムを取り扱っていた会社だそうです。そのためロゴカラーがラリーアートっぽい?)、中国製のバッテリーを取扱うオーバーランダー、サックスダンパーのチューニングメーカーであるフランスのPKM、このマシンの搭載モーターであるYASAモーター、そしてタブスオート(映像会社)です。

ダンビスさんとしては、9分30秒が今回の目標だとしています。今回のパイクスピークは、あくまでもプロジェクトの最初の年で、来年以降に続けるための参戦であるので、このターゲットタイムよりはしっかりデータを取ることを優先したいということです。(XaCARレポーター・青山義明)
dc5e63db.jpg
チーム体制は、なんと6名のみ!

このページのトップヘ