オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2013年04月

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先日、HySUT(ハイサット/水素供給・利用技術研究組合)とNEDO(新エネルギー・産業技術総合開発機構)との共同研究となる、地域水素供給インフラ技術・社会実証の技術・社会実証研究の一環として、日本初の商用仕様実証水素ステーションがオープンしました。その施設内部をご紹介していくシリーズ、第3弾です。

今回は、一般の方が見ることのできない、裏側をチェック、です。先日紹介した、トレーラータイプの可搬型の水素タンクに接続された先です。トレーラーから来た水素は、ステーションでまず圧縮していく施設に入ります。
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写真左側こあるのが高圧水素圧縮機です。低圧縮機と高圧縮機を組み合わせ、0.6MPaから80MPa(能力的には100MPaまで対応)まで圧縮できます。圧縮の起動と停止を柔軟に対応できるように、インバーターを採用しています。また、シリンダー部には、高寿命のシール材を使用した無給油タイプとすることで、油分のないクリーンな高圧水素ガスが供給できます。

写真右上には熱交換器があります。圧縮機で発熱した水素を冷却するための冷却装置です。このマイクロチャネル熱交換器は、既存の多管式熱交換器に比べ1/10ほどの超小型タイプです。
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ここで80MPaまで圧縮された水素は、隣にある82MPa複合蓄圧器で貯蔵。FCVに充てんするのを待つことになります。この蓄圧器のボンベはCFRP製で、既存のものに比べ1/3ほどまで軽量化されており、小型のサービス・ステーションでは屋根上に設置することも可能といいます。高圧の水素は、FCVのタンクとの差圧で充てん。3分ほどで満タン(FCVタンクは5㎏を想定)になるということです。(XaCARレポーター・青山義明)

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神奈川県・海老名にオープンした、国内初のガソリンスタンド併設型水素ステーション。その施設内部をご紹介していくシリーズ、第2弾です。
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敷地内の車両の整備スペースの脇に、トレーラーの荷台部分がどーんとあります。その後方では、配管でサービスステーション側に接続されています。ここはオフサイト型といわれるステーション(ほかの場所で製造した水素を貯蔵してFCVに充てんするタイプ)で、運ばれてきた水素はここで保管されるわけです。そのためステーションにきっちりと固定、据えつけられています。ガソリンなどは地下にある貯蔵タンクに移し替えるので、ちょっと違和感がありますね。

この可搬型貯蔵タンク以外に、サービスステーション側にも昇圧した水素を貯めておく貯蔵タンクがあります。トレーラー側が空になれば、また別のトレーラーがやってきてこの空のトレーラーと交換していく、という仕組みです。

このトレーラーは新型です。45MPaとこれまでよりも高圧です。それまでは35MPaのタンクだったそうです(普通のボンベは鉄のタンクを使用した19.6MPaタイプが主流)が、もっとたくさんの水素を積載したいというニーズに合わせて、進化したようです。

水素タンクは300Lタイプを24本搭載しています。ちなみにタンクはCFRP、いわゆるカーボンを使用して軽量化しています。じゃぁ、もっと高圧にして水素を運べばいいんじゃないか? と思うかもしれませんが、単純に圧力を倍にしたら体積は半分になるかというと、そうでもなくて、もっと強固なタンクが必要に。積載効率とコストなどを考えると、このあたりに落ち着くのだそうです。
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トレーラーのルーフ部は、運搬中の日差しで温度上昇することを防ぐように、断熱材を組み込んだ天井となっており、ステーションに据えつけられると、今度はルーフを開けるようになります。トレーラーが収納されている建屋の天井も空いています。水素が漏れてもスッと大気に放出されていくわけです。ちなみにトレーラーには、バイクなどでおなじみの「Kawasaki」のロゴマークがあります。あのバイクを作っている川崎重工製なんです。(XaCARレポーター・青山義明)

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国内初のガソリンスタンド併設型水素ステーションがオープンしましたが、今回はその施設内部をご紹介していきたいと思います。

まず、最も目につくのが水素を燃料電池車に充てんをする計量器です。充てんするノズルが備えられているところのことです。ディスペンサーとも呼びますね。この水素の計量器は、ガソリンの計量器でもよく見かける、タツノ(国内シェアトップ、世界3大ガソリン計量器メーカーの一つ)のものです。
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表示部分を覗いてみると、流量・充てん量・温度の表示がなされています。これはまだ暫定的な表示。商用としてスタートしていないですからね。最終的には、支払い金額、充てん量、水素単価が表示されるように切り替えられるのだとか。
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実はこのアイランド(一段高くなった部分をアイランドと呼ぶそうです)に設置するため、非常にコンパクトな設計となっているそうです。手前側に横長に置かれているのがプレクール(水素充てんの際に摩擦熱が発生するため、事前にマイナス33度以下に下げておきます)のユニットです。ここまでコンパクトになっていれば、既存のスタンドでも違和感なく充てんができそうな感じですね。(XaCARレポーター・青山義明)

全日本電気自動車レース協会主催によるEVだけのレースシリーズ。今年から新たなクラブ組織、CLUB JEVRAが設立されています。JEVRA自体はレースの団体となるわけですが、このCLUB JEVRAは、EV全体を盛り上げていこうという志の下、EVオーナーおよびEVに興味のある人を対象に、会員を募り、JEVRA開催時のサーキットで、さまざまな展開をしていこうという企画です。

開幕戦の舞台である袖ヶ浦フォレストレースウェイのパドックには、通常とは異なる風景が広がっていました。これまでJEVRAレースのパドックといえば、ドライバー、スタッフを含め、そのほとんどが内燃機関車での会場入りで、コース上にはEVしかいないものの、パドックには数えるほどしかEVがいない、という状況でした。
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ところが今回は、パドックに数多くのリーフやi-MiEVが並んでいます。CLUB JEVRAとして初のイベントとなるこの日、レースの観戦とは別に、CLUB JEVRA会員のためにEVスキルアップスクールなるものが開催されたのです。
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モータージャーナリストの日下部保雄さんと菰田潔さんによる、EVの走り方というテーマでのトークショーになりました。日下部さんは「ハンドルをえぐらない走り方」、菰田さんは「このEVレースにおける戦略」という内容で、ジャーナリストならではの、普段聞けない経験談もまじえてのEV話が繰り広げられました。お二人で掛け合い漫才のような、あっという間の20分間でした。
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さらにEVのみによる先導車付の体験走行会も行なわれました。もちろん、サーキット走行後には、パドックにて無料急速充電サービス付。帰りの足を気にせずにしっかりサーキット走行も楽しめるようになっているわけです。ちなみにCLUB JEVRAへの入会には、こちらのフォーマットに記入して登録するだけ。入会金・年会費は無料となっています。
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今回パドックに集まった皆さんは、EVOC(EVオーナーズクラブ)やCLUB LEAF of Japanなどにも登録している皆さんが多かったですね。このイベント、メーカーを問わず横断的にいろいろな情報交換もできるかもしれないですね。(XaCARレポーター・青山義明)

燃料電池車の普及に向けた実証実験として、国内初のガソリンスタンド併設型水素ステーションが、神奈川県海老名市に4月19日にオープンしました。
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2015年FCV(燃料電池車)の市販化に向けて、自動車メーカーも開発を進め、水素の充てんできる水素ステーションの設置も2015年までに100ヵ所の開設を目指しています。そんな中での商用ステーションの設置となりました。
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今回オープンしたのは、昨年5月及び11月の規制見直しによって設置が可能となった、新しいタイプの水素ステーションです。普通に営業している、セルフのガソリンスタンドの敷地内に設置しています。

欧州ではすでにガソリン計量器と同じスペースに水素計量器も設置できていますが、国内法ではそうはいきません。充てんの計量器は8mの間隔をあける必要があり、ガソリンがこぼれても水素充てんスペース側に流れ込まないよう、溝を設けなければならない等々、海外のステーションと比較すると、まだまだ水素ステーションの設置には壁があります。規制の見直しなども必要なんでしょうが、それでも、これまでのような普通の人にはどこにあるのかわからないような郊外型のステーションよりは、すごく身近になったことでしょう。
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神奈川県からは黒岩知事もやってきて「3歩先を行く神奈川を目指し、強い思いを持って燃料電池車をバックアップしていきたい」と述べました。またENEOSのサービスステーションを展開するJX日鉱日石エネルギーでは、さらに5月に愛知県でもう1店舗、同様の水素ステーションを開設する予定です。EVでもそうですが、インフラの整備も重要です。利益が出るまではまだまだ時間がかかるでしょうが、ぜひとも頑張ってもらいたいですね。(XaCARレポーター・青山義明)

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