オフィスBMの取材日誌 自動車系物書きのクルマとバイクと…

記者として、カメラマンとして 日々自動車&バイク関連を追いかける、クルマメディア業界の何でも屋・青山義明のブログです。

2012年07月

BMWのEV実証実験といえば、昨年はMINI Eを14名×2回、それぞれ5ヵ月間貸し出して、一般ユーザーの視点からの使い方やインプレッションなどのデータを収集していた。特定企業や団体ではなく、公募した一般参加者から抽選で選んで、一定期間預けてしまう、という非常に大胆な実験だったが、今回も新たな実証実験がスタートしている。

その方法が、カーシェアリング。カーシェアリングとは、会員でクルマをシェアするというシステムで、レンタカーよりも短い時間での利用を想定したもの。今回、BMWと合同でこの実証実験に参加するのは、駐車場を展開しているタイムズ24。タイムズ24のカーシェアリング・サービスであるタイムズプラスでは、すでにBMW1シリーズやMINI One、MINI One CROSSOVERを導入している実績(なんと144台配備!)もあって、今回の参画となったようだ。
9e2f55fb.jpg                    ※写真は欧州仕様

で、今回実証実験に使われるクルマがこれ。1シリーズクーペをベースに開発されたBMW ActiveE。なんといっても、市販前のクルマである。モーターをリアに搭載したリア駆動のEV。モーターは125kW/250Nmを発揮する。エンジン搭載スペースからセンタートンネル、後席下に、駆動用電源となるリチウムイオンバッテリーを搭載する。バッテリー容量は32kWh、航続距離は160km。BMWでは、来年以降市販されるBMW i3は、これに近いパワーユニットが搭載されるとしている。
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実際に導入されるのは、タイムズステーション有楽町イトシアに2台、タイムズステーション池袋およびタイムズステーション横浜山下町に1台ずつの計4台。利用にはタイムズプラス会員であることが必要。利用料金は、輸入車に適合される「プレミアムクラス」の料金15分400円。こんな特別なクルマなのに、BMW116iやMINI Oneのカーシェア料金と同額だ! また、実証実験のデータ収集のため、利用者は走行後にアンケートに協力。EVの使い勝手などの意見を求められる(任意)ようだ。

なんといっても発売前の実証実験車両。この機会を逃すと乗れなくなること必至。タイムズプラス会員になっちゃおうかなぁ。このカーシェアリングの実証実験は2013年12月31日までだ。
(XaCARレポーター・青山義明)

いつも驚愕のサプライズを提供してくれる、水野和敏さん率いるGT-R開発チーム。5月のニュル24時間参戦からすでに2ヵ月、24時間レース直後の開発テストを行なってから、開発スタッフは帰国、今は、日本が世界に誇るスーパーカーの更なる進化に向け、2013年モデルへの開発真っ盛り、というところでしょうか?
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さて、ドイツ・ニュルブルクリンク・サーキットが経営破綻か?というニュースも伝わり、今後のニュルテストもどのようになるのか不安な部分もあります。しかし今年はすべて予定通りに行なわれるということですので、秋のニュルGT-R開発テストは大丈夫でしょう。

そんな秋のテストですが、なんと、この開発テストに参加できるツアーがありました。それがニュルブルクリンクGT-R体験ツアー「R35 NordRing Driving Master in Nurburgring」。9月15日(土)~19日(火)、GT-R開発チームのニュルテストに合わせて、ニュルブルクリンクサーキットへ行こうというものです。
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ツアー名にもあるように、開発ドライバー鈴木利男さんのショップ「ノルドリンク」で行なっている、ドライビングマスターというスクールの一環です。鈴木利男さんの助手席でニュルブルクリンク・ノルトシュライフェとGT-Rをたっぷり堪能することはもちろん、サーキット用レンタカー(車両はシロッコやスイフトなどになるという)を借り、自身の運転でもニュルを堪能できるそうです。
873a2dba.jpg              ニュル近くにあるカプリコーンの貸しガレージ。
            ここが、GT-R開発部隊の拠点。もちろん、ここにも入れるはず!


でも残念ながら、すでに予定数を上回る応募があったということで、すでに「申し込み多数のため締め切り」状態(残念!)。また、次回募集があった際は、真っ先に紹介しますので、お金を貯めて待っていましょう!?
(XaCARレポーター・青山義明)

伝説の自動車メーカー「トミタ夢工場(1968年創業)」から販売されたスモールスポーツカー、トミーカイラZZ。200台以上が生産されたトミーカイラZZと、その後継機種として市販予定だったトミーカイラZZ IIをベースにした、EVが開発されるというニュースが飛び出したのは2年ほど前のことだった。

開発を行なうグリーンロードモータース(GLM)という会社は、京都大学発のベンチャー企業である。そしてこのプロジェクトの統括責任者として、トミタ夢工場社長であった冨田義一さんが参加している。そして実際にトミーカイラZZをベースとしたEV試作第一号を見ることができたのは、2011年の1月のことであった。その会場で話を聞いたとき、実はほんのちょっと落胆したことを覚えている。
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日本の英知とも言える京都大学が作るEV、となれば、自動車メーカー、電機産業からとは違うアプローチ、そして先進性のある、飛びぬけたEVが出現するのではないかと、こちらはひそかに思っていた。

しかし試作車両は、リチウムポリマーバッテリーを使い非常に軽量に仕上げられていたが、特筆すべき点がそれほど見られなかった。また、社長である小間さんは、技術系ではなく経営管理の大学院出、と正直ちょっと落胆しかけたことは事実。その後GLMは、スポーツカーではなく小型3輪EV開発に着手し、さらに、籍を置いていた京都大学ベンチャー・ビジネス・ラボラトリーは、この春に事業活動を終了、とトミーカイラのEVの実現性自体を「?」と見ても仕方ない状況であった。
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そのGLMから、先日続報が届いた。EVスポーツカーとしてのトミーカイラZZの、実際の量産化開始が決定したという。量産開始までに必要な資金が調達できたから、ということだが、驚いたのがそのスポンサー。元ソニー会長の出井伸之さんや元グリコ会長の江崎正道さんらもさることながら、日産LEAF用の給電システム「EVパワーステーション」を発表した、京都に本社を置くニチコンが名を連ねているのだ。

コンバートEVの域を出ない試作車だったが、もっと本気モードの市販EVができるのではないか、と期待が膨らむ。試作車からどのように進化するのか? 「車体も、デザインもすべて新しく生まれ変わります」とのことだが、トミーカイラZZの復活。注目だ。
(XaCARレポーター・青山義明)

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